速水御舟の画業たどる 日本画100点公開 茨城県近代美術館

茨城新聞
2023年2月28日

近代日本画をけん引した速水御舟(1894~1935年)の日本画展が、水戸市千波町の茨城県近代美術館で開かれている。明治末期から昭和初期にかけて描かれた約100点と素描などが展示され、次々と作風を変えながら画壇に新風を吹き込んだ画業の全貌を知ることができる。3月26日まで。

見どころは、変わり続けた作風。40歳で亡くなるまで型にはまることを嫌い、生涯を通じて短いサイクルで作品のタッチを変化させた。会場には15歳から亡くなる前年までの作品が並び、写生に基づく叙情的な作品や、精緻を極めた大正期の写実的な作品など、表現の移り変わりを見ることができる。

目玉は、1921(大正10)年作の静物画「鍋島の皿に柘榴(ざくろ)」。日本画の画材を使って西洋絵画的に描かれた作品で、左から光を受けた柘榴と皿の存在感、質感を克明に描写している。

御舟は東京都台東区生まれ。23歳で日本美術院同人に推挙され、横山大観や小林古径らにも高く評価された。尾崎正明館長は「御舟は画風を固めることなく、いろんなタイプの絵にチャレンジした。その描写力のすごさ、絵画への一途さなどが伝わってくれれば」と話している。

同館ほか主催。午前9時半~午後5時。月曜休館。会期は前後期に分かれ、前期は3月12日まで。後期は同14日から。入場料一般1100円、高校・大学生870円、満70歳以上550円。小中学生490円。