那珂川と住民、共生たどる 水戸で特別展 生業・流通・災害 古文書や史料展示

茨城新聞
2023年2月20日

水戸市大町の市立博物館で、特別展「那珂川ヒストリー-水と共に生きた人々-」が開かれている。水戸とつながりが深い那珂川の歴史を江戸時代を中心に「生業(なりわい)」「流通」「災害」の三つの視点から紹介。古文書や写真、現物史料を展示し、那珂川と水戸や周辺地域に住む人たちとの共生の歩みを体系的に見せている。3月12日まで。

那珂川は栃木県の那須岳を水源とする全長150キロの国内有数の河川。同館によると、交通や漁業といったテーマで取り上げられることはあったが、体系的に紹介されることはなかった。特別展は広い視点で調査する第一歩にとの思いを込め、2019年の東日本台風(台風19号)で救出・保全された文化財を紹介する機会として企画した。

会場では、縄文時代のアユの漁網の復元や佐竹氏の時代からサケ漁が行われていたことを示す文書を展示。日本で初めてサケの人工授精が青柳地区で行われたことなどが生業として紹介されている。流通では「水戸藩御用荷札」のほか、大洗から上流に運んだ高級肥料の干鰯(ほしか)・〆粕(しめかす)、河岸を示す絵図、勘十郎堀の史料など流通部門を展示。江戸につながる水路が茨城県の名所と共に描かれた「常陸名所図屏風(びょうぶ)」がメインを飾る。

一方、災害部門はこれまでの氾濫の歴史を紹介。江戸時代の洪水から避難した水戸藩士の体験記のほか、東日本台風で泥水に漬かり、ボランティアによって救出・保全された下国井地区の史料などを活動の写真とともに展示している。

期間中は関連行事として学芸員によるギャラリートークのほか、那珂川水運や鮭漁、水戸城下の水害史をテーマとする講演会を予定している。

入場料は一般200円。20人以上の団体は1人150円。土日・祝日に限り18歳以下の子ども1人につき大人1人が無料。月曜休館。