茨城・桜川の小山寺三重塔CFで修理へ 国重文、屋根に傷み

茨城新聞
2023年1月23日

「富谷観音」の名前で知られる茨城県桜川市富谷の小山寺は、老朽化が著しい国重要文化財の三重塔を応急修理するためクラウドファンディング(CF)で寄付を募っている。国に修理を依頼しているが、屋根の傷みがひどく、一刻も早く手を入れないと被害が広がるという。丹治純孝住職(39)は「先人の守ってきた寺を今後も守り続けるため、協力をお願いしたい」と呼びかけている。

富谷山の中腹にある同寺は、735(天平7)年に聖武天皇の勅願で行基が開いたと伝わる。寺のシンボルである三重塔は室町時代の1465(寬正6)年に再建され、関東以北では最古という。1906(明治39)年に重要文化財に指定された。1988(昭和63)年から約3年がかりで解体修理を行っている。

塔の屋根は杉などの薄い板を何層も重ねた「栩葺(とちぶ)き」で造られている。解体修理から30年以上が経過し、風雨や周囲の樹木の影響で屋根の一部が傷み、雨水が入り込んでいる状態だ。塔の周辺では屋根の破片が落下する時もあるという。

傷みが激しい三重塔の屋根=桜川市富谷(小山寺提供)

 

丹治住職によると、国に葺き替えを申請したが、予算などの関係から工事開始は約10年後という。屋根の内部まで水が浸透していると、現時点で約1億円を見積もった修理費用がさらに増える恐れがある。

応急修理は杉板を差し替えたり杉板の間に銅板を挟んだりすることで浸水を食い止め、本格的な葺き替えの費用負担を軽減するのが目的。200万円を目標とし、2月13日午後11時まで受け付ける。

約1300年の歴史を持つ同寺には、ほかにも県指定文化財の仁王門、鐘楼など貴重な建造物があり、建物や設備の修理も課題となっている。応急修理の費用も昨今の物価上昇に伴い高くなる可能性があるという。丹治住職は「寺の負担を少しでも減らしたい」と話した。

CFのほか直接寄付も受け付けている。問い合わせは同寺(電)0296(75)4440。CFの申し込みはレディーフォーのサイトから。アドレスはhttps://readyfor.jp/projects/106295