尊氏・秀吉・家康の文書公開 茨城県立歴史館 作法解説、力関係も

茨城新聞
2023年1月2日

水戸市緑町の茨城県立歴史館で「将軍・天下人たちの文書(もんじょ)-鎌倉殿から家康まで-」と題し、同館が所蔵する中世文書7点を展示している。このうち足利尊氏、豊臣秀吉、徳川家康に関係する文書3点が初公開された。展示では文書に関する当時の作法やマナーについての解説を添え、将軍たちの気遣いや力関係を垣間見ることができるよう工夫されている。

同館は本年度から、同館が保管する古文書や公文書を一般公開し、学びにつなげてもらうコーナー「アーカイブズ(文書館)の部屋」を開設した。今回の展示は同コーナーの展示として企画された。保管品は近世文書が中心のため、中世文書をまとめて紹介するのは珍しいという。

展示は、源頼朝から徳川家康まで6人が発給した文書。このうち「足利尊氏感状」「豊臣秀吉朱印状」「徳川家康書状」の3点が初めての公開となった。

「足利尊氏感状」(1336年)は、室町幕府を開いた直後、厳島親直(厳島神社の神主)に宛てた文書で、親直の功績をたたえる内容。「豊臣秀吉朱印状」(1592年)は朝鮮出兵に際し、諸大名に送ったとされる動員10人分の持ち物リストだ。

足利尊氏感状(水戸家中富田家文書 県立歴史館寄託)

 

展示では、文書を記す際の当時のマナーや作法にも触れ、花押や紙質、日付の位置などを解説している。同館主任研究員の山縣創明さんは「まずは文書自体を味わってほしい。作法に注目すると、送る側と受け取る側の力関係などが見え、興味が広がる」と話した。

29日まで。月曜休館。2、9日の月曜は開館、3、10日休館。