茨城県北芸術祭 閉幕まで1週間 住民のもてなし好評
県北6市町で開催中の国際アートフェスティバル「KENPOKU ART 2016 茨城県北芸術祭」(~20日)は閉幕まで1週間に迫った。開幕から各会場は週末を中心に多くの来場者でにぎわい、来場者数も目標を超すなど好評。県内外からの来場者を迎えようと各作品の展示会場では地域住民らも出迎えに熱心だ。県は当初、芸術祭を支えてくれるサポーターを千人募集したが、1200人を超す応募があるなど、住民の“おもてなし”も一助になっている。
開催自治体の一つ、大子町では廃校を作品会場に利用したり、常陸大子駅前商店街には東京芸大やタイの大学のチームによる作品が点在。袋田の滝には観瀑台に向かうトンネルの天井に、久慈川の流れを表現したオブジェが光るなど見どころが多い。同町北西部にあり約20年前に廃校になった旧初原小学校には教室を利用して作品群が並ぶ。
「この作品は動物のふんで作られているんです。この学校は廊下が他の小学校よりも広いんですね」。来場者にこう話し掛けているのは小学校近くに住む渡辺よし江さん(80)。芸術祭開幕時からここで1日置きに来場者を迎えている。
渡辺さんは「皆さんに喜んで帰ってもらえれば。『ありがとうございました』と言われると、良かったなと思います」と話す。来場者が訪れると資料を渡したり、1、2階の各教室に展示してある作品を一つ一つ丁寧に説明したりする。「2階へも1日200回は上り下りするが、とても体にいいですよ」と笑う。
「cycling」と名付けた作品群。教室には大子特産の漆を染み込ませたふんを素材に、黒いブタやヤギ、ロバの像が並ぶ。最初は作品の意味がなかなか分からなかったが、「作家の方が来てくれた時に『これはこういうことなんですよ』といろいろ教えてくれた」。渡辺さんの説明は評判となり、何度も訪れる人もいるという。「閉幕までもう少しだけど最後まで頑張りたい」と意気込む。
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