涸沼の保全、活用探る 茨城町でシンポ
涸沼の環境保全や活用を考える県水際線シンポジウム「涸沼との触れ合い~水辺環境を活かした地域づくり」が19日、茨城町下石崎の旧町立広浦小学校で開かれ、約300人が参加した。水質浄化運動や農家民泊活動に関わる住民らによるパネルディスカッションを通して、今後の地域づくりを考えた。
基調講演で茨城大工学部の藤田昌史准教授は、湖沼の水質浄化について、下水道の整備だけでは効果があまり上がっていない状況を挙げ、「市街地や田畑など面的なところから流れ出す汚染源への対策が必要になっている」と指摘。
一方で、湖沼の実際の水質と、見た目の印象評価が食い違う調査結果を示し、水質を良くするばかりが湖沼の好感度を上げる要素ではないと紹介。涸沼では、水質が悪く栄養があることがヤマトシジミの成育にプラスに働く一面にも触れた。
パネルディスカッションには、市民団体や研究者、住民、行政の代表など5人が登壇した。
水質浄化活動に取り組むクリーンアップひぬまネットワークの谷萩八重子会長は「水質汚濁は家庭の雑排水が課題。油を流さないような心遣いが必要」と訴え。茨城生物の会の小菅次男会長は「ヒヌマイトトンボの生息地が、13カ所から3カ所に減った。ヨシ原を再生し、貴重な生き物も復活させたい」と提案した。
地元の長洲秀吉さんは昭和30年代に撮影したニシンの漁獲風景写真を紹介しながら「寒さが厳しかった。大漁でカズノコも取れた。忘れられない」と回顧。農家民泊運動を展開する清水勝利さんは「地域の絆が深まっている。受け入れ家庭をさらに増やし、漁業などの体験プログラムを充実したい」と意欲を見せた。
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