《上州真田》信繁の初陣 緊迫伝える 松井田城攻めの企画展 安中

上毛新聞
2016年8月15日

ㅤ真田信繁(幸村)の初陣とされる1590(天正18)年の松井田城攻めの企画展が、安中市下間仁田の市学習の森ふるさと学習館で開かれている。北条方として同城を守っていた大道寺政繁を中心に、関連する資料や解説パネル約50点を展示している。9月25日まで。

ㅤ真田家は豊臣秀吉の小田原征伐に合わせ、前田家と上杉家を主力とする中山道方面の攻略に参戦した。長野県側から碓氷峠を越えて松井田城に押し寄せた軍勢は、約1カ月間にわたる攻防の末に大道寺を降伏させた。
ㅤ市教委の佐野亨介さんによると、松代藩真田家の資料に初めて「幸村」の名が登場する一戦でもあり、大道寺の防御施設「堀切(ほりきり)」を突破したという手柄が記録されている。松井田には、城を落ち延びる大道寺の幼子を幸村が見逃した伝説も残る。
ㅤ企画展では、当時の包囲網の名残で、城の周囲一帯に「陣場」という小字があることなどを解説パネルで紹介している。北条家が松井田衆に軍備を整えるよう命令した文書もあり、最前線の緊迫感が伝わる。
ㅤ佐野さんは「早雲以来の北条家宿老の家柄だった大道寺の降伏は衝撃的で、忍(おし)城(埼玉県行田市)を除く関東の城が次々と落ちていく一因になった」と指摘する。
ㅤ小田原城陥落後、大道寺は秀吉に切腹させられたが、子孫は徳川幕府や諸藩に仕えて家名を保った。没後に作られた肖像画なども展示している。火曜と9月21、23日休館。問い合わせは同館(☎027・382・7622)へ。

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