自転車イベント ブーム後押しで盛況 もてなしが充実アクセスも奏功  

上毛新聞
2016年7月20日

ㅤ県内外の人がタイムを競ったり、景色を楽しみながら自分のペースでペダルをこぐ自転車イベントが県内で盛んだ。規模は大小さまざまだが、受け入れる主催者や地元ボランティアは出場者がコースから見える景色や地形を楽しみ、特産品などに触れて、地域を知ってもらえるよう工夫を凝らしている。

◎ネット申請主流
ㅤ自転車イベントの出場申請はインターネットが主流だ。エントリーサイト「スポーツエントリー」は全国各地の年間約600のイベントを紹介。神奈川県が61件と全国で最も多く、関東では東京都や千葉県が約30件と続く。サイトを運営するアプロード(東京都)の竹内繁雄さんは本県の大会について、「開催市町村のもてなしが充実しているのが特徴」と話す。
出場者規模でみると、榛名、赤城の名前を冠した「ヒルクライム」が県内の2大イベント。過去最多の6510人が出場し、5月に開かれた第4回榛名山ヒルクライム(高崎市)は約1200人のボランティアが全国有数規模の大会を支えた。
ㅤ9月に予定される第6回まえばし赤城山ヒルクライム(前橋市)は、インターネット申し込み分(2800人)が90分ほどでいっぱいになった。担当者は「首都圏からのアクセスがいいことも奏功している」と人気の理由を分析する。一方、5月に藤岡市で開かれた「チャレンジサイクリングフェスタ上州藤岡ライド&ヒル」は約470人が参加した。市担当者は「この規模を限度に維持していきたい」としている。

◎魅力アピール
ㅤ出場した人が改めて観光客として訪れてもらえるよう、主催する自治体やボランティアは地元の魅力をアピールする。
ㅤ富岡市で5月に初開催された「妙義山ビューライド・イン・富岡2016」。貫前神社や丹生湖などに設けた休憩所では「こしね汁」や「ホルモン揚げ」といった自慢のグルメを用意し、好評を得た。参加賞として富岡製糸場ペア入場券や温泉の割引券を用意し、再訪への誘導を狙った。
ㅤ9月に嬬恋村で初開催する「嬬恋キャベツヒルクライム」は、14年にコース内の土砂崩れで中止になってから開催が途絶えていた「嬬恋・万座ハイウエーヒルクライム」の後継と位置づけられる。コースからは天気次第で浅間山の美しい姿を眺望できるため、自転車を降りて写真を撮る出場者もいた。村観光協会は「下見の時も含めて村に宿泊してもらえれば、観光産業の潤いに直結する」と期待する。
ㅤ竹内さんは、近年の自転車ブームで愛好者の裾野が広がっていると分析。「レース外のお楽しみなどイベント性の高さ、いかにPRするかが規模の維持、継続の鍵になるのでは」と指摘する。

◎盗難対策が課題
ㅤ起伏が激しいコースを乗り切るのに、出場者は自転車に資金をかけて大会に臨む。前橋市内のサイクルショップによると、中には100万円以上の高級車もあるといい、榛名山ヒルクライムやまえばし赤城山ヒルクライムでは高額な自転車を狙った盗難も発生した。盗難対策は出場者、主催者共通の悩みの種となっている。
ㅤ大会の主催者はホームページなどで機材の管理徹底を呼び掛けるほか、対策のための人員を増やしたり、放送呼び掛けを強化するなどして警戒している。