《消えた鉄道今昔(1)》JR信越線 横川―軽井沢 峠越え支えた「重連」
安中市(旧松井田町)と長野県軽井沢町を結ぶJR信越線横川―軽井沢間(11・2キロ)は1997年、長野新幹線(北陸新幹線)の開業に伴い廃止となった。千メートルで最大66・7メートルの高低差がある全国屈指の急勾配区間だった。単独運転では列車が対応できないことから、専用の補助機関車「EF63」が2両一組の重連運転を行う峠越えで知られた。
廃止まで使われた路線はアプト式の「旧線」に代わり、63年に開通した。松井田町誌によると、戦後の経済発展に伴って交通機関の需要が増大し、アプト式の単線運転では輸送量が限界に達した。「新線」は着工からわずか2年で開通し、66年に複線化された。
機関車の基地だった同市の横川運転区の跡地には、碓氷峠鉄道文化むらがオープン。鉄道の歴史を伝える多くの資料や車両が展示されている。廃線跡の一部はトロッコ列車の運行やEF63の運転体験コースに利用されている。
同市の向郷(こうごう)輝一さん(80)は国鉄が民営化された87年、熊ノ平信号所を通過する列車を撮影した。「時代の流れとはいえ廃止は寂しかった。EF63のモーターを冷やす『ウアン、ウアン』という送風機の独特の音が忘れられない」と振り返る。
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長野新幹線の開業に伴い、在来線の横川―軽井沢間が廃止になってから20年目となる。日本の経済成長を支えた鉄道。時代とともに役目を終え、姿を消した路線は少なくない。当時の写真を手掛かりに、県内の主な廃線跡を訪ねた。
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