自然や産業遺産 中之条・六合地区 誘客増へ一体化 案内板やガイド育成

上毛新聞
2016年6月28日

ㅤ中之条町と同町観光協会は、六合地区にある自然や産業遺産のスポットを一体化し、観光資源としてのPRを強化する。昨年5月にラムサール条約湿地に登録された「芳ケ平湿地群」や、絹遺産として特徴的な養蚕家屋が残る赤岩地区などを「日本の近代化を支えた産業遺産」と位置付けてアピールし、観光客を呼び込む。加速する人口減少を食い止め、地域に活気を取り戻す。

ㅤ町などが六合地区の観光素材と考えるのは、国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)の赤岩地区のほか、一部が同湿地群に含まれるチャツボミゴケ公園、町が復元整備を進める旧国鉄太子線・太子駅など。
同公園はかつて鉄鉱石の貴重な産出地で、太子線は鉄鉱石を運ぶために建設されており、町は赤岩地区と合わせて「産業遺産」とのストーリーを打ち出し、誘客を進める。一部はツアー商品として、町観光協会がネットなどで販売する。
契機となったのは、昨年5月の湿地群のラムサール条約湿地の登録。同公園を含めたツアーの設定を在京、在阪の旅行社に呼び掛けたところ、10社以上が応じた実績があるという。
ㅤ観光客の受け入れ態勢を整えるため、町は湿地群周辺に案内板を設置したり、自然観察会のガイドを育成。周辺に宿泊地が少ない赤岩地区では地元住民が民泊を始めている。
2015年度の町の観光客数は127万人で、このうち六合地区は31万人余り。町は総合計画で、19年度に町全体で140万人を目標にしており、四万などの温泉地に加え、六合地区への誘客増が重要となる。一方、同地区は旧六合村が中之条町と合併した10年3月に1717人だった人口が2割ほど減っており、地方創生に向け、人口減少を食い止めるための活性化策が大きな課題となっている。
ㅤ町は、四万や草津といった周辺温泉地と連動した誘客を進める意向。伊能正夫町長は「観光資源が豊富な六合地区は、まだまだ活性化できる可能性が高い。周辺の関係機関と連携し、集客を増やせるようにしていきたい」と話している。