松平家ゆかりの槍 前橋東照宮に奉納

上毛新聞
2016年4月19日

ㅤ徳川家康の逝去400年の命日に当たる17日、家康の血を引く旧前橋藩主の松平大和守家(やまとのかみけ)が代々継承した「御手杵(おてぎね)の槍(やり)」が約70年ぶりに復元され、前橋東照宮(前橋市大手町、瀬尾茂宮司)に奉納された。実物に触れることができるのはこの日だけとあって、“刀剣女子”が詰めかけた。

ㅤ戦国時代に作られ「日本三名槍(そう)」とたたえられたやりで、1945年に東京大空襲で焼失した。17代目の現当主、松平直泰さん(71)=同市下川町=が、写真などを基に、全長約380センチで鞘(さや)が手杵(てぎね)の形をしているやりを復元した。直泰さんの長男で奉納を見届けた直孝さん(43)=安中市中宿=は「家宝として受け継いでいきたい」と話していた。
ㅤ刀剣ブームの火付け役のインターネットゲーム「刀剣乱舞」にこのやりが登場することから、刀剣に関心がある女性らが一目見ようと東照宮に押し寄せた。伊勢崎市のイラストレーター、伊藤夏住さんは「刀身が大きかった」と目を見張り、大泉町の会社員、平山真弓さんは「触りまくり、撮りまくりで大満足です」と笑顔だった。
ㅤやりを参勤交代の列の先頭に配置すると雨が降ったという言い伝えがある。除幕の時に雨がぱらつくと、「伝説の通りだ」と来場者がどよめいた。やりは東照宮で常設展示される。
ㅤ同家の顕彰会「結城松平博喩堂(はくゆどう)報恩舎(ほうおんしゃ)」の発足式も開かれ、やりと一緒に焼失した刀剣「式部正宗」を復元することを決めた。

地図を開く 近くのニュース