ミヤコカナヘビ展示 宮古諸島生息の絶滅危惧種 茨城・日立市かみね動物園
■「自然考えるきっかけに」
茨城県日立市宮田町の市かみね動物園は、トカゲの仲間で沖縄県宮古島をはじめとする宮古諸島にだけ生息する絶滅危惧種「ミヤコカナヘビ」の展示を始めた。同館での展示は初めてで、国内での一般公開は全国で3カ所目という。
ミヤコカナヘビは全身が明るい緑色で、全長約30センチ。体の4分の3ほどを占める長い尾が特徴。昼行性で昆虫を餌にする。同諸島に生息し、1980年代までは草地などでよく見られた。2000年ごろまでに個体数が減少し、現在では発見が難しくなっている。
環境省と日本動物園水族館協会の生息域外保全の取り組みとして、同園でも21年3月末に東京・上野動物園から10匹を導入。温度や湿度、光といった育成環境などデータを集めながら飼育してきた。繁殖に成功し、現在は29匹を飼育している。保全活動が順調に進んでいるため、公開を決めた。
現在は「はちゅウるい館」1階オープンラボで7匹を展示する。草に尾を絡めて高い場所にいる様子など見られ、子どもたちが興味深そうに足を止めていた。家族で訪れた北茨城市の小学2年、佐藤雅さん(8)は「顔がかわいかった。カナヘビは好き。家でも飼っているので、大切に飼いたい」と話した。
は虫類を担当する同園の中本旅人さん(36)は「『こんな生き物が日本にいるのか』という面白さを味わってほしい。ミヤコカナヘビの置かれた現状や、人間の影響で壊れている自然について、考えて行動するきっかけにして」と話した。