戦争の悲惨さ後世へ 茨城・常陸大宮「道の駅みわ」 漫画ペリリュー原画展 31日まで
太平洋戦争の激戦地、パラオ・ペリリュー島の戦いに焦点を当てた漫画「ペリリュー 楽園のゲルニカ」の原画展が、茨城県常陸大宮市鷲子の道の駅みわ・北斗星で開催され、戦争の悲惨さを伝えている。パラオと交流が深く、8日閉幕した東京五輪で同国選手団のホストタウンも務めた同市が主催。同国の文化を紹介する展示物や、市所有の戦争の写真も同時に展示されている。会期は31日まで。
日米両軍が終戦1年前の1944年に激戦を繰り広げた同島の戦いでは、1万人余りの日本兵が犠牲となった。主力を占めた水戸歩兵第二連隊の県内戦死者2320人のうち、75人は同市出身者だった。
同作品は、戦争体験者の証言を基に描かれ、同島に赴いた後、得意の絵を認められ記録係となった架空の兵士の物語。今回の展示には、青年漫画誌に連載した白泉社や、同展を主催する筑波海軍航空隊記念館(笠間市)などが協力した。
水戸市から訪れた70代女性は「二度と過ちを繰り返さないよう、戦争の悲惨さを若い人たちに伝え、引き継いでいかなければならない」と感想を述べた。別の男性は「太平洋戦争の大きな戦いは知っていたが、南国の小さな島でこんな悲惨な出来事があったのは知らなかった。興味深い展示だった」と話した。
当初、展示は約90点だったが反響が大きく、カラーの原画なども加え150点近くとした。堀江克己駅長は「戦争を知らない世代が多い今だからこそ、戦争を知るきっかけになってほしい」と期待する。
同市はパラオと戦没者慰霊、消防車寄贈、スポーツ交流などを通じ交流を続ける。東京五輪で同国選手は競泳と陸上に3選手が出場したが、いずれも予選敗退。市は、新型コロナウイルス感染防止のため、直前合宿の実施は断念したが、市民が作成した応援動画を選手たちに届けた。
展示は各日午前9時~午後6時。入場無料。10、16、23、30日は休館。
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