衝動のまま表現自在 絵画展を開くアール・ブリュット作家 川崎さん 水戸、17日まで

茨城新聞
2020年12月9日

既存の美術や文化に縛られず、自身の内側から湧く衝動のままに表現した芸術は「アール・ブリュット」と呼ばれる。別名「生の芸術」。昨年7月に茨城県で開催されたノンブラック展で、作品が新人賞に輝くなど、アール・ブリュットの作家として注目されつつある川崎翔平(かわさきしょうへい)さん。

絵を描き始めたのは3歳の時。最初は信号機や道路を描いていた。母の浩子さんは「自分の興味があるものを熱心に描いていた様子だった」と当時を振り返る。自閉症のため、コミュニケーションを取ることが難しい部分もあるが、何より絵を描いているときに見せる楽しそうな笑顔から、居場所を見つけたような様子だったという。

中学時代から、水戸市袴塚のみかど絵画教室(安斎栄代表)に通うようになり、水彩画や墨絵など幅広い描き方があることを学んだ。講師の橘さち子さんは、大型絵画を描く際、各パーツの大きさを調整することが難しいことに触れ、「彼は描く順番も普通なら考えられない所から始める。それでも最後にはきれいにまとめることができる」とアール・ブリュットならではの才能を感じるという。

特徴的なのは、作品が出来上がっても、何か感じるものがあれば、随時付け加えていくところ。時々、過去の作品を見返し、色合いや形など変化させたりもする。

現在、同市見和の市立見和図書館ギャラリーで絵画展を開いている。新人賞を受賞した作品「いきていくちから」など計4点の大型絵画を展示。初日の11月28日にはファンの1人でもある高橋靖水戸市長が訪れた。同日も、作品に生命を吹き掛けるように筆を走らせていた。

【メモ】絵画展は17日まで。姉からもらった音楽機器がお気に入り。27歳。

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