滝田浩さんの遺作40点 老舗画廊経営、1月急逝 故人しのぶ 水戸

茨城新聞
2020年8月4日

水戸市で老舗の画廊・画材販売会社「タキタ」を経営しながら、自らも一作家として水彩画を描き、今年1月に急逝した滝田浩さんの遺作展が、同市泉町のアートセンター・タキタで開かれている。過去に公募展に出品した120号の大作など約40点を展示、故人の画業と人となりをしのばせている。

妻道子さん(81)によると、滝田さんは1月23日夜、突然、心筋梗塞で倒れ、そのまま亡くなった。87歳だった。「新盆を迎えるに際し、遺作の一部を飾って、身内やお世話になった方々に故人をしのぶ場をつくりたかった」として展示を企画したという。

会場には、水戸芸術館や千波湖など身近な風物・風景を取り上げた作品や、ヨーロッパの歴史的建築物、ぽつんとある自転車、スケッチの小品などが並ぶ。描く対象は異なっても、いずれにも温かなまなざしが注がれている。

滝田さんは、表現者に作品発表の場を提供することを生業とする一方、自らも一創作者として活動し、水彩連盟展や県芸術祭美術展、水戸市展などに作品を発表していた。

昭和1桁生まれで、生涯を水戸で暮らした滝田さんは、少年時代に体験した水戸の戦災の語り部としても活動していた。会場では、その顔をうかがわせる映像も流している。

画廊・画材店の経営を引き継ぐ準備中の長男淳一さん(57)は「父を知っている方に気軽に足を運んでもらい、昔話でもしてもらえたらうれしい」と話した。25日まで。入場は無料。

地図を開く 近くのニュース