河川好環境、12センチ超も 水温高く、遡上は順調 茨城県内アユ 6月1日解禁
茨城県内のアユ釣りが例年通り6月1日(一部支流は7月1日)解禁になる。久慈川、那珂川の両河川で定期的にアユの遡上(そじょう)調査を行ってきた県水産試験場内水面支場は、今年の両河川の遡上状況は昨年より良好とみている。
新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言も全面解除となる中、1日は「初物」を求める愛好者らが大挙して押し寄せる可能性もある。漁協関係者らは引き続き「警戒を怠らず、密状態を避けるよう」釣り人に呼び掛けていく。
同支場によると、昨年の茨城県沖の海水温が高かったことで、5月からの久慈、那珂両河川の水温も高めに推移。アユの生存率が高まり、河川への回帰率に好影響を与えた可能性があるとみている。その結果、今年は平年より早く天然アユの遡上が確認され、5月上旬には早くも一つのピークを迎えた見込みが強い。他の河川でも状況は同傾向の模様だ。
県内各漁協では今月末までに昨年並みの放流を実施。漁協関係者からは「12センチ以上のアユも見られるようになってきた。場所によっては青ノロなどもなく川の環境は良い」などの声も聞かれる。
昨年10月の台風19号による遡上への影響は特に見られないという。増水によって川床に堆積した砂や泥が洗い流され、産卵の好条件となる「浮き石」状態になった。水量も多く、石に付く餌の藻類も豊富な状況だという。
近年のアユを取り巻く状況は「資源として増やしていく」方向にシフトしている。放流に頼らず、河川の力を生かした持続可能な繁殖の試みとして、久慈川漁協ではアユの産卵時期に合わせ、川を下るアユを保護するため、10月上旬に久慈川全域で禁漁期間を設けたり、アユが産卵しやすい河床を造成したりするなどの試みをしている。
同支場は「こうした取り組みが釣果に現れてきたと感じている。解禁日に期待したい」と話している。