百里基地、偵察航空隊が廃止へ 災害支援支えた60年
航空自衛隊百里基地(小美玉市百里)に所属する偵察航空隊が2019年度で廃止される。同隊は9日、飛行訓練終了セレモニーを行い、約60年の歴史に幕を閉じた。訓練では、用途廃止となる運用機体「RF-4E」が、大空に最後の勇姿を見せた。
偵察航空隊は航空自衛隊で唯一の偵察を専門にする部隊。有事の際の任務以外にも、災害時にはいち早く被災地の情報収集を行ってきた。東日本大震災では発生当日から連日、被災地の空撮を行い福島第1原発の事故状況も撮影。災害支援活動を陰から支えてきた。
偵察航空隊司令の朝倉譲1等空佐は東日本大震災を振り返りながら「あれほどの災害を隊員たちは見てきた。海岸線を北に上がり南に下がり。9年たっても思いは変わらない。歴史ある部隊の最後の司令として、若い人たちにつなげていきたい」と話した。
1961年に松島基地(宮城県)で新編した同隊は、入間基地(埼玉県)を経て、75年に百里基地に拠点を移した。運用機体「RF-4E/EJ」はベトナム戦争で登場した戦闘機「F-4ファントム」をベースにした機体で、搭載する光学カメラや赤外線カメラで情報の収集、提供を行ってきた。同機体の引退に伴い、部隊廃止が決まった。
今後の航空偵察については、ステルス戦闘機「F-35」などの情報収集機能による代替を予定。百里基地には戦闘機「F-2」が2019年度内に配備される。
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