《旬もの》笠間自然薯研究会(笠間市) 有機肥料で天然物に匹敵

茨城新聞
2020年1月19日

「山菜の王者」といわれる自然薯(じねんじょ)は野山に自生する日本原産の山芋。栄養価が高く、滋養強壮などの効能が知られている。笠間自然薯研究会は有機肥料を使った土作りで天然物に劣らない品質の栽培を行う。葉が枯れ始める11月から2月までが収穫穫期で今がまさに旬。笠間市内にある同会の直売所が3月まで土日に営業するほか、会員個人でJA直売所などに出荷する。

同会は2000年に活動を始めた。会員は笠間市を中心に14人。高齢化で減少傾向にあるが、脱サラや定年退職を機に栽培に取り組む人も多い。「体にいい、おいしいものが食べたい」と始める人もいるという。

品質のよい自然薯を作るため、会員間で種芋と肥料を統一し、畑の土壌を自然の状態に近づける。肥料は魚粉や米ぬかなど有機100%で、微生物の働きを促す善玉菌を配合する。極力農薬は使わず、無農薬で栽培する人もいる。会長の深作和宏さん(63)は「土中の善玉菌を増やし微生物の働きをよくすることで、団粒構造という細かい土の塊ができ、保水性がありながら水はけのよい土壌を作っていく」と話す。

副会長の近藤正明さん(79)は子どものころ山に自生する自然薯を取って食べた思い出がある。「有機肥料で育てると糖度も上がり、粘りも違う。日持ちもよくなる。自生する芋の味と変わらない」と自負する。「こんなに粘りが強い」と、とろろにした自然薯を箸で持ち上げてみせた。そのおいしさはイノシシも大好物。被害に頭を痛め、電気柵やトタンを張り巡らすなどの対策を施している。

曲がりくねったり、形も大きさもばらつきがあったりする天然物は折らずに掘り出すのが難しいが、畑で工夫して栽培すると、重さ500グラムから1キロほどの、品質も姿形も安定した自然薯ができる。土深く成長させるのではなく、約30センチの深さの溝を掘り、斜めに埋めたシートに沿わせて種芋を植える。6月ごろに植え付けると、約半年後には1メートルほどのすらりとした立派な芋が収穫できる。深作さんは「シートを入れる作業に苦労する。掘るより植える方が大変」と収穫に汗を流す。

掘った芋は「水で洗ってしまうと傷みやすくなる」ため、風圧やはけなどで優しく山砂を落とし、低温の冷蔵庫で保存する。

自然薯はお歳暮など贈り物としても人気が高い。同会ホームページから購入でき、全国から注文が入る。

■メモ
笠間自然薯研究会▽直売所は笠間市手越418の2(3月まで土日営業)
▽ホームページは「笠間自然薯研究会」で検索

地図を開く 近くのニュース