つくばワイナリー 理想のワイン追求 来年3月にも販売へ 醸造所とショップ完成
つくば産ワイン造りに取り組む「つくばワイナリー」(つくば市北条)の醸造やワイン販売の拠点が完成し、新酒ができる来年にはショップが本格オープンの予定だ。自社のブドウ畑を持った本格的なワイナリーは県内初。畑隣接の立地を生かして生産者が醸造まで手掛けるワイン造りを行い、理想の味を追求していく。
ワイナリーはカドヤカンパニー(小美玉市)が運営。ワイナリーの周囲に広がるブドウ畑で、日本品種を含む5品種約6千本から年間約15トンを収穫。これまでは委託醸造していたが、9月から醸造を開始し、2019年産から全て自社で仕込む。750ミリリットルで約1万5千本分の製造を目指す。
醸造責任者の北村工さん(47)をはじめ、栽培も行う3人で作業する。ブドウに最も適した時期に収穫して冷蔵室で保存し、なるべく数日中の新鮮なうちに仕込む。破砕機で実のみを取り出した後、プレス機で果汁を搾り出す。プレス機に移すとき、一般的にはポンプを使い自動で送り込むが、手動で上から流し込む。重力を利用して搾ることでブドウを傷つけない工夫をする。その後、14基あるタンクや、たるに移して熟成させたりと瓶詰めを待つ。
つくばはワインにとって重要な酸味が残りにくい気候で、「今後も土質に合った品種を導入し、魅力的なワインを生み出したい」と北村さん。目指すは茨城やつくばといった近隣の食材に合い、日常的に楽しめるワインだ。
2012年にワイナリーを設立し日本産のブドウ2品種から栽培を始め、徐々に生産を増やしてきた。自社醸造が軌道に乗れば畑を現在の2倍に広げ、製造量を増やすことも視野に入れる。
醸造した新酒は来年3月を目標に、醸造所と同じ建物内にあるショップで赤と白、ロゼを販売する。ショップから筑波の山並みを望むことができ、醸造を行う永原有茶さん(42)は「足を運び、景色を見てもらうことでワインを味わう楽しみを増やしてほしい」。絞りたてのブドウ果汁の試飲などのイベントも開催していきたい考えで「将来は観光地の一つとしてつくばに来てもらえるきっかけになれば」と話した。
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