《行きたい乗りたい上電 全線開業90周年》味 片貝の饅頭、東新川に牛タン 愛される沿線グルメ

上毛新聞
2018年11月17日

酒粕香るもちもちとした皮に、優しい甘さのこしあん―。170年の伝統を持つ前橋名物の「片原饅頭(まんじゅう)」の味を求め、前橋市の片貝駅近くの「前ばし万十屋」は、年配層やこしあん好きの若者でにぎわう。
同市出身の詩人、萩原朔太郎も愛した銘菓は、後継者不足で1996年に途絶えたが、同市の福島正幸さん(70)が、2012年に復活させた。
皮は糀(こうじ)、米、小麦粉などを自然発酵させて作る。滑らかなこしあんを追求し、小豆の皮はほとんど使わない。一つ作るのに18時間を要するが、「前橋の味を伝えたい」と福島さんは力を込める。
銘菓の伝統を受け継ぐ店もあれば、沿線に新たな食文化をもたらす店もある。
桐生市の東新川駅周辺の「炭火焼牛タン多賀城」では、仙台名物の牛タンを味わえる。宮城県多賀城市で小料理屋を営んでいた秋葉俊男さん(66)、佳枝さん(73)夫妻が、東日本大震災を機に、佳枝さんの地元に近い桐生に移住、開業した。
宮城県の業者から取り寄せ、秋葉さんが注文を受けて炭火で焼く牛タンは柔らかく、肉のうま味が感じられる。秋葉さんは「上電の来店客もいる。今後も上電とともに地域に根差したい」と話す。

【写真】「前橋の味を伝えたい」と話す福島さん=10月2日、前橋市

【メモ】上電社員50人に駅周辺のお薦め飲食店などを尋ねた結果、1位は太田食堂(膳、13票)。豊富なメニューに加え、「カツカレーラーメンなどがっつり系が多い」(30代男性)と幅広い世代の男性陣から支持された。2位はベイコック(大胡)、焼肉天国赤坂(赤坂)、ていしゃば(富士山下)などが各2票で続いた。

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