群馬・旧太子駅の貨車「ワラ1」も紹介 寄贈貢献の笹田さんが鉄道テーマの書籍出版

上毛新聞
2024年10月31日

JR四国から群馬県中之条町に昨年寄贈され、六合地区の旧太子(おおし)駅に展示中の貨車「ワラ1」をはじめ、各地の鉄道の逸話を取り上げた単行本「鉄道『謎』巡礼」(イカロス出版)が刊行された。著者は、ワラ1寄贈の調整役を担った鉄道文化財アドバイザーの笹田昌宏さん(53)=東京都。博物館級の貴重な貨車が山奥で保存されることになったいきさつの全てを紹介している。

ワラ1は同書の第1章で6ページにわたって取り上げたほか、裏表紙にも採用。表紙と裏表紙のデッサンは笹田さんの長女、麻弥さん(18)が描いた。

ワラ1は「黒貨車のエース」とも呼ばれた国鉄時代を代表する貨車で、1万7000両以上が造られた。旧太子駅に展示されているのは「トップナンバー車」と呼ばれる製造番号1の車両で、原形を残す唯一の車両とされる。

JR四国が香川県内で保存していたが、工場の大規模改修に伴って解体を取り沙汰されたため、笹田さんが引受先探しに奔走。笹田さんが過去に鉄道遺産である旧太子駅に無蓋(むがい)車を寄贈し、ふるさとアドバイザーも務めている縁で同町が受け入れた。

笹田さんは「全国には意外と鉄道に関する謎が多く、その訳を探ってみると、さまざまな発見があり面白かった。初めての父娘の合作となり、うれしい」と話している。

A5判、176ページ。1980円。各地の書店やネット通販で購入できる。