見せる新収蔵棟完成 卒業作品保存、展示室も 東京芸大取手 茨城
東京芸術大取手キャンパス(茨城県取手市小文間)に卒業生らの作品を保存する収蔵棟が新たに完成した。約5000点を保存できる。作品を納める機能の収蔵庫に「見せる」という視点を取り入れたのが特徴。展示室を設け、機械室もガラス張りにして外から見えるようにした。一般開放も検討する。
同大では創立初期の明治時代から、卒業制作のうち優秀品などを大学が買い上げ、同キャンパスの大学美術館取手館に収蔵している。毎年約150点増え続けて現在は約7千点に上り、スペース不足になり、取手館の隣に新収蔵棟を建設した。
収蔵棟は2階の渡り廊下で取手館とつながっている。鉄筋コンクリート3階建て延べ床面積約2163平方メートル。2階には明治から現代までの卒業作品を約40点展示した部屋を造った。作品は年代や学科を満遍なく選び、芸大の歴史が凝縮された形だ。壁面には80センチ四方の小窓を8個設け、窓越しに収蔵庫内の作品が見られる。
作品の保存に重要な空調設備のある機械室もガラス張りにし、外から見られるようにした。学生に保存方法を知ってもらう狙いだ。
同大は来年度に一般開放し、2階の展示室では作者との対話イベントなども検討している。
大学美術館の大内伸輔特任准教授は「美術と社会をつなぐ『魅せる収蔵庫』として活用したい。どういうふうに作品と向き合い、大切に扱っているか、収蔵庫ならではの体験ができる。地域に開いた収蔵棟にさせたい」と話す。