アート空間に宿泊 群馬・四万温泉の旅館が地元作家コラボ
四万温泉の旅館「湯の宿 山ばと」(群馬県中之条町四万、山口良子社長)が、地元在住の芸術家とコラボレーションした客室2室を開設した。中之条や四万を感じられる宿をコンセプトに、2組の作家が部屋に沿った作品を制作。旅先でアートに浸る特別な体験を提供し、宿泊客を呼び込む。
源泉掛け流しの三つの貸し切り風呂と、いろり料理の宿。宿泊客の需要に合わせて和室から洋室に改装した部屋をアーティストルームとした。
同町には隔年で開かれる現代アートの祭典「中之条ビエンナーレ」を機に移住してくる芸術家がおり、山口社長は以前から旅館業での連携を模索していた。宿泊客には妊婦や家族連れが多く、子どものうちにアートに触れる機会を提供したいと考えたという。
改修工事は、家具販売などを手がけるスタイル(伊勢崎市日乃出町、松島郁夫社長)の建築部門「スタイルラボ」に依頼。中之条町移住・定住コーディネーター、村上久美子さんが吾妻郡内に移住してきたビエンナーレ作家を紹介した。
2室のうち、最大5人収容の「ファミリー」(大人1人1万5400円~)は、山形敦子さんが担当。障子紙のほか、養蚕道具を活用した作品に光を通して絵が浮かぶ。四万の生き物との共生、命や水の循環に入り込むような体験ができる空間になっている。
2人部屋の「ツイン」(同1万6500円~)は、カナダ人のクレムさんと日本人のモモさんによる「CLEMOMO(クレモモ)」が手がけた。仲むつまじい山ばとのイメージから二対のカラフルな人形を置いた。人形には部屋の改修で出た部材を活用している。
両作家は9月9日~10月9日に開かれる「中之条ビエンナーレ2023」に参加する。山口社長は「日中と夜間で部屋の雰囲気が変わる。一日中アートを満喫できるので、ビエンナーレの期間中にぜひ泊まってほしい」と話している。山ばとのホームページから予約する。
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