稲敷のバス待合室 木でくつろぎ空間 筑波大生ら改修作業

茨城新聞
2016年5月13日

筑波大の学生らが改修作業を進めていた稲敷市江戸崎甲のバスターミナル「江戸崎駅」の駅舎が待合室(約40平方メートル)として、リニューアルオープンした。築約50年を数え、さびれた印象のあった駅舎は、内壁と床が木材で覆われ、座敷もでき、温かみが感じられる待合室に生まれ変わった。駅利用者は小中高生と高齢者が多く、作業に携わった学生は「座敷に腰を掛けながら、世代の違う人たちが交流できる場所になれば」と話す。

江戸崎駅の駅舎は1968年に建築された。近年はコインランドリーとして使われていたが、昨年3月に市がJRバス関東から購入した後は使用されていなかった。そんな中、同駅を市のにぎわい拠点にできないかと、昨年6月から筑波大や県立江戸崎総合高、市民団体などが活用策を話し合ってきた。

その第1弾として、昨年11月から約2カ月間、同大や同高、地元住民らが参加し、色あせていた屋外看板(高さ約1・8メートル、横幅約21・3メートル)を、市のゆるキャラを登場させた漫画風看板に塗り直した。1月からは同大芸術専門学群の学生ら約10人が駅舎を待合室に改修する作業に乗り出した。

地元の人たちに愛着を持ってもらうため、材料は地元の木材店から廃材の提供を受けた。床には大小さまざまな形の木材を敷き詰め、壁にも板を張り付け、さらに、5月2日に閉所した江戸崎庁舎から畳を運び出し、腰が掛けられる座敷(7畳)も作った。

11日には待合室お披露目会が開かれ、関係者や駅利用者、地元住民ら約50人が詰め掛け、完成を祝った。

改修作業の中心メンバーで、筑波大大学院芸術専攻博士後期課程1年の栗原広佑さん(26)は「木の温かみを生かして、自宅の居間のようにくつろげる空間を目指した。街に活気を与える拠点として、ここでイベントなどもしてほしい」と話した。

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