黒沢止幾の生家保存へ 日本初の小学校女性教諭 町文化財に指定 城里

茨城新聞
2016年3月2日

日本初の小学校女性教師として知られる黒沢止幾(とき)(1806~90年)が教育活動に当たった場所でもある城里町錫高野の生家と土地が1日、同町文化財(史跡)に指定された。屋根が傷むなど建物の状態悪化が懸念されていたが、今回の指定を踏まえ、町や町教育委員会は手厚い保護に向けて本格的に始動し、偉人ゆかりの地の継承を図る。

 県資料などによると、止幾は行商などの傍ら文化人との交流で豊富な知識を蓄え、49歳ごろに生家の寺子屋を継いだ。54歳で、謹慎の身の水戸藩主・徳川斉昭の無実を朝廷に訴えるため長歌を献上しようとし、幕府に捕らえられた。学制発布後に自宅を小学校として開放、68歳で日本初の女性小学校教師となり、85歳で亡くなるまで教育に励んだ。

 これら止幾の志の高さや地域貢献、本拠となった生家の重要性などを学識者で構成する町文化財保護審議会が評価し、「指定は妥当」と町教委に答申した。

 生家はこれまで町民男性が建物、町内の民間事業者が土地を所有。風化が進む中、昨年6月までにかやぶき屋根の一部が崩れるなどし、自力での保存は難しいと判断、同月に町へ寄付した。直後に町は、屋根にブルーシートを掛ける応急処置を実施。手厚く保護するため文化財指定を急ごうと、町教委に指定を申請していた。

 建物は木造平屋で延べ床面積109平方㍍。答申によると、江戸時代後期から末期ごろの建築と見られ、畳敷きの8畳間と10畳間、土間などがあり、当初材が残るなど古民家としても貴重という。

 町と町教委は指定を踏まえ、修復や復元の計画策定に向けて準備を進める方針。上遠野修町長は「できるだけ当時の姿に戻したい。地元の意見をしっかり聞き、(生家に)多くの人に訪れてもらえるような策を講じたい」とし、観光拠点としても期待を寄せている。

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