《まち歩き・里歩き》スタート 麻場城址公園 (甘楽町白倉) 歴史の町 戦国しのぶ  

上毛新聞
2016年1月21日

豊かな自然とともに、国指定名勝「楽山園」や武家屋敷など往時の面影を残す甘楽町。町内は多くの城跡があり、古くから政治や交易の拠点として重視されてきたことがうかがえる。例年よりもずいぶんと暖かい年始の一日。城跡の一つ、麻場城址公園から、気持ちも新たに歩き出した。
抜けるような青空がどこまでも広がっている。遠く、北西の方角には、妙義の山々やうっすらと雪が積もった浅間山が見える麻場城址公園。年始とあって人影はなかったが、眼下に広がる景色をじっくり楽しんだ。
城は戦国時代初期、当時の豪族、白倉氏によって築かれたとされる。丘陵地の先端にあり、本丸の周囲には深い空堀を見ることができる。東にあった仁井屋城と合わせて白倉城と呼ばれていた。
公園北側の斜面を下って住宅地の中を進むと、日本酒「聖徳」を造る「聖徳銘醸」を見つけた。西上州の四つの蔵元が合併して創業した酒蔵とのこと。タイミング良く、今シーズンの大吟醸を仕込む作業を見せてもらえた。工場長の滝沢幹夫さん(54)=写真=は「気温や水温によって洗米の時間も秒単位で変わってくる。今年もおいしいお酒を届けたい」と話してくれた。
公園西側の道路沿いに、立派なれんが蔵があった。以前は養蚕も営んでいた山田基司さん(67)方の敷地内に建っており、90年以上の歴史がある。「やまいちまる」の屋号を記した看板が今も残っていた。
坂道を上り、文化会館や総合福祉センターのある「甘楽ふれあいの丘」に向かう。途中、今春開校予定の甘楽中の建設工事現場前を通った。甘楽一中と二中が統合され、春からは大勢の生徒が通学するという。校舎には、養蚕家屋に見られる櫓(やぐら)のような窓があった。広い校庭を生徒たちが元気よく駆ける姿が目に浮かぶようだ。
ふれあいの丘の陸上競技場では、近くに住む城戸光一さん(80)と孫の渡辺恭成君(8)がたこ揚げをしていた。あいにくの微風だが、正月らしい光景に頬が緩む。「自然が豊かで、歴史や文化もある。本当に生活しやすい町」と城戸さん。
武家屋敷のような外観の文化会館の近く、上信越道を背にして巨大なてんぐの像が建っていた。「白倉のお天狗(てんぐ)さま」として知られる白倉神社が近くにあることもあって、1994年に造られた。この丘を守ってもらうという願いが込められている。
不意に吹いた風に、少し身がこわばる。気温も下がってきたようだ。武将たちも防寒に頭を悩ませたのだろうか。歴史と文化を今も受け継ぐ地域の取り組みを思い出しながら、再び公園へと向かった。

【コースの特徴】正倉院模した「古代館」 想像膨らむ出土品
丘陵地を通るアップダウンのある3キロ。歩道が狭い場所もあり、注意して歩きたい。

【寄り道したら】
ふれあいの丘の一画、陸上競技場に近い場所にある校倉(あぜくら)造りの建屋。甘楽町で出土した土器などを展示する古代館は、東大寺にある正倉院を模した外観がひときわ目立つ。
発掘調査によって出土した旧石器時代から鎌倉時代までのつぼやかめ、馬具など千点近くが飾られている。勾玉(まがたま)を制作する手順を説明した展示もある。土器などを通して、町の歴史を振り返ることができる。
子安和順(わじゅん)館長は「町内では、火災に 遭った古代の住居跡も発掘されている。展示から 想像を膨らませてほしい」と話している。
平日午前9時~午後4時半。入場無料。問い合わせは町文化財 保護係(☎0274・74・3131)へ。

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