体験型施設へ刷新 茨城県フラワーパーク、29日開業 民間ノウハウで誘客促進

茨城新聞
2021年4月25日

茨城県石岡市下青柳の「県フラワーパーク」(愛称・いばらきフラワーパーク)が29日、リニューアルオープンする。民間ノウハウを取り入れ、従来の「見て楽しむ」施設から「五感で感じる」体験型施設へと生まれ変わる。飲食、休憩施設の充実や販売機能を強化するなど、入園者の滞在時間を延ばす多彩な仕掛けを凝らし、県内外からの観光誘客促進を目指す。

九つのエリア

“新生”フラワーパークは約12ヘクタールの敷地を九つの区域に分け、花を眺めて楽しむだけでなく、区域ごとに香りや味わい、触れるなどの「五感」で感じることができる施設へと刷新する。園内は春や秋を中心に、約900種、9千株が咲き誇る県花のバラを満喫できるのが魅力だ。

園内では、入園後すぐに現れる「ローズトンネル」で視界いっぱいのバラが出迎える。トンネルを抜けると、厳選された100種の色彩バラが間近に迫る区域に到達。中腹に当たるこの区域からは、中央部に広がる広大な「ローズテラス」を一望するとともに、周辺に広がる八郷地区の雄大な自然の眺めも堪能できる。

芝生の広がる西側には、複数のデッキを配置し、くつろげる空間を創出。香りの強いバラを植栽した区域も設けた。筑波石を積み上げ圧巻の装いへ様変わりした入り口など、地元色も強く打ち出した。

もてなし強化

運営は国内外に生花店「青山フラワーマーケット」を113店舗展開するパーク・コーポレーション(東京)が中心となり手掛ける。生花販売やカフェ、スクール、空間デザインなどの各事業を展開する同社のノウハウを生かし、幅広い世代の誘客を促す。

特に、入園者の滞在時間を延ばすためのもてなし機能を充実させる。正面玄関に隣接した「ローズファームマーケット」は、カフェを併設。入園者以外でも自由に利用でき、アロマオイルや花瓶など植物関連の商品や地元の土産品などを販売して消費拡大を促す。

また、園内中央に新設した飲食施設「ローズファームハウス」は「バラ農家からの招待」(県観光物産課)をコンセプトに、食事やまき割り、ハーブ摘み取りなどが体験できる工夫も凝らす。全面ガラス張りの店内は開放感あふれ、テラス席も設ける。

旧パークの展示温室もアトリエとして改修し、ワークショップなどに活用。さまざまな仕掛けで誘客を促す。

年間25万人へ

県フラワーパークは、国際科学技術博覧会(科学万博)が開かれた1985年、茨城県における花き振興の促進を主な目的に開園。観光施設の側面を備えながら、品評会や展示会開催など生産者の取り組みも後押ししてきた。

年間の入園者数はピーク時の92年に37万人を記録。それ以降は、国営ひたち海浜公園(ひたちなか市)やあしかがフラワーパーク(栃木県足利市)など競合施設の開業により伸び悩んだ。2015年にはイルミネーションを導入するなど、てこ入れを図ってきたが、近年の入園者は年間17万人ほどで推移している。

民間ノウハウを生かした今回の大幅なリニューアルで、こうした右肩下がりの状況を打開したい考えだ。パーク・コーポレーションの井上英明社長は3月下旬の会見で「まずは年間25万人」と目標を掲げた。県も「将来的には、ピーク時の入園者数まで引き上げたい」(同課)と意気込んでいる。

 

内覧会

メディア向けの内覧会が22日に開かれた。同施設の大規模改修は1985年の開園以来初めて。五感で楽しめるよう工夫されており、滞在型の観光施設として国内外に発信する。

リニューアルした県フラワーパークの内覧会で「バラのトンネル」をくぐる参加者ら=石岡市下青柳

 

長田昇園長は「花と自然と茨城県が少しでも好きになってもらえる施設にしたい」と語った。

29日には大井川和彦知事や石岡市の谷島洋司市長らが出席して、セレモニーが行われる。

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