《旬もの》花秀園(東海村) 冬を彩る鉢花シクラメン 「葉組み」繰り返し

茨城新聞
2020年12月14日

師走。年の瀬のせわしさに加え、今年は感染症の脅威に緊張を強いられる日々が続く。冬を彩るシクラメンを主力に栽培する東海村の花秀園。ハウスには赤やピンクなどの鉢花が並び、華やいだ気分にしてくれる。園主の橋本秀也さん(45)は「シクラメンに限らず、何の花でもいいから、自分の近くに花を置いて、緊張をほどいてほしい」と話す。

橋本さんは高校卒業後、実家のキュウリ農家を継いだが、鉢花の栽培を目指し、愛知県の大規模花き農家で研修。22歳で花秀園を開いた。

ハウス栽培で計約5千平方メートルの圃場(ほじょう)に、シクラメンのほか、2月に出荷しかわいらしい花を付けるボロニア、母の日向けのカーネーションを手掛ける。11月に行われた毎年恒例の県鉢物品評会で橋本さんのシクラメンが県知事賞に輝いた。

同園のシクラメン栽培は3月に苗をポットに定植、6月に鉢植えする。出荷までは、温度管理や肥培管理などに気を付けながら育てる。夏の暑さ対策に苦慮しながら「毎年安定した鉢を出すこと」に努める。

中でも大変なのがシクラメン栽培で特有の「葉組み」という作業。中央に花をまとめ、その周りを葉が囲むように姿を整える。「何もしないと横から花が咲いてしまう。手作業で葉の隙間から出ている花やつぼみを中央に寄せて姿を良くし、株を作っていく」と丹精を込める。8月から出荷まで毎日、約9000鉢に葉組みを4、5回繰り返す。

この日は、橋本さんが家族で緩んできた株を整え直し、葉組みの作業を行っていた。出荷直前の鉢は回転台に載せ、360度どの角度でも美しく見えるように、最後の手入れをして送り出す。

出荷先は水戸や都内、福島県などの市場。11月中旬から12月15日ごろまで直売を行う。贈り物用にも人気。

贈り物にも人気

「せっかくだから長く楽しんでほしい」と話す橋本さんに家庭での育て方を聞いた。「水をやりすぎないこと。水は鉢が軽くなり花がしおれる前に適量を与えて」。受け皿の上に水をためてしまう状態だと根が腐って枯れてしまうという。置き場所にも気を付けたい。「暖房の近くには置かないこと。寒い部屋に置いた方が日持ちする」。暖かくなると、成長しすぎて姿が変わってしまうためだ。

■メモ
花秀園
▽住所は東海村豊岡752付近(道路沿いに5棟見えるハウスが目印)

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