かすみがうら市と茨城県 古民家を宿泊施設に

茨城新聞
2019年11月26日

かすみがうら市と県は、同市坂の観光拠点「☆(歩の「、」を取る)崎公園」に隣接する築約100年の古民家を活用し、観光用の宿泊施設を開設する。古民家を生かし地域活性化を図る県の補助事業の第1号で、所有者から寄付を受け、市が改装する計画。同公園は、ナショナルサイクルルートに選ばれた「つくば霞ケ浦りんりんロード」沿いの休憩施設でもあり、自転車利用者の宿泊も見込む。来年7月以降に開業を目指す。

市や県によると、古民家はもともと酒蔵や特定郵便局で、明治時代初期の木造建築。敷地面積は約3200平方メートル、平屋の建物は約230平方メートルで、うち一部は中2階になっている。

市は所有者から民家の寄付を受け、市が所有して宿泊施設に改装する計画。改装は来年3月末までに行い、☆(歩の「、」を取る)崎公園内にある市交流センターの付帯施設として、市の第三セクター「かすみがうら未来づくりカンパニー」が管理を予定する。

民家内に5部屋ほどを設け、宿泊は4組程度(16~20人)が泊まれるようにする。家族連れや大学のゼミも想定し、貸し切り料金も設ける。食事は交流センター内の地場食材レストラン「かすみキッチン」からの提供を考える。

市地域未来投資推進課は「現在ある五右衛門風呂やかまどを残し、入浴や調理の体験用に提供したい。古さと新しさを兼ね備えた形をアピールできれば」と見据える。帆引き船の漁見学や自転車といった周辺ツアーも加える考え。

☆(歩の「、」を取る)崎公園周辺は、交流センター、水族館、歴史博物館を含め観光施設が集約している。市は「公園の観光強化で交流人口を増やしたい」と期待を込めた。

古民家改修は国の地方創生交付金を活用する。総事業費は2千万円で、県と市が1千万円ずつを負担し、うち500万円ずつは国から交付金を受ける。

県は地方創生の一環で2018年度から3カ年、古民家を活用した本県のブランド力向上事業を展開。改修のほか、県内の古民家活用実態調査や有識者による合同研究会設置を進め、一般向けセミナーも行っている。ただ改修交付金の対象は、自治体が公的に所有し管理する物件。古民家は多数あるが民有がほとんどのため、対象は限定される。かすみがうら市は所有者に地域活性化への理解を得て無償譲渡を受けた。

県地域振興課は「りんりんロードの課題の一つは宿泊施設が少ないこと。古民家を宿泊施設に転換して魅力を発信できる。モデル例として紹介していければ」と利点を強調した。

県は来年度も、県内全域で2件の古民家改修への補助を想定する。

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