フグ料理を新名物に 全国鍋フェスタで優勝 北茨城の旅館 県内初の陸上養殖成功

茨城新聞
2018年12月29日

「東のアンコウ、西のフグと言われるほどの高級魚の両方を味わえるまちにしたい」-。「あんこう鍋」が名物の北茨城市内の旅館がトラフグの養殖に取り組み、そのフグを使って今月、京都府で開催された「全国ご当地鍋フェスタ 鍋-1グランプリ」で優勝、夢の実現に大きな一歩を踏み出した。早速、ふるさと納税の返礼品に登録され、来年4月には同旅館でフグ料理の提供を始める予定だ。

同市平潟町の旅館「あんこうの宿 まるみつ旅館」(武子能久社長)では、冬の鍋料理として全国区の知名度を持つ「あんこう鍋」に加え、夏も宿泊客らが喜ぶ料理を提供することで、年間を通して足を運んでもらおうと、トラフグの養殖に取り組んだ。

2月に県内初の陸上養殖プラントを立ち上げ、一部温泉を入れた人工海水で、「平潟港温泉とらふぐ」と名付けて約500匹を試験的に養殖。夏の猛暑を乗り越え、体長約25センチ、800グラムほどに成長した。

養殖のメリットは「アニサキスなどがないクリーンな魚が提供できること」という。

鍋-1グランプリへは2017年にアンコウの肝をふんだんに入れた濃厚な味の「あんこう鍋」で初参戦、初優勝。同大会の連覇は初めてで、「感無量。前年の大会でアンコウの濃厚さを知ってもらえていたので、今回は味の濃さは安心していた。北茨城の肝文化を広めたい」と意気込む。

同旅館の新しい鍋「北茨城とらふぐ汁」は、アン肝を溶かしたみそ仕立てのスープにトラフグの身を入れ、その上にアン肝とフグの白子をトッピング。ダイコンやネギ、ワカメが入る。アン肝の濃厚さと白子のクリーミーさが特徴。北茨城のアン肝文化で培った調理方法を取り入れ、同旅館自慢のアン肝をスープに入れた「あんこう鍋を超えた味」と話す。

ふるさと納税と同旅館で、あんこう鍋ととらふぐ汁の鍋セットの受け付けを開始している。旅館ではトラフグメニューとして「とらふぐ汁」のほか、刺し身、唐揚げなど幅広く提供していく予定だ。武子社長は「アンコウとトラフグの食べ比べや、ポン酢にアン肝を溶かしてトラフグのしゃぶしゃぶなど、西にないオリジナルな食べ方を開発、提供したい」と意欲を示す。

インターネットによる「あん肝同盟」を発足。アン肝の情報提供やアン肝好きの声を聴きながら商品化などに取り組んでいく。1月からは養殖量を増やすとともに、餌にアンコウのコラーゲンを入れて独自ブランド化を図る考えだ。

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