《旬もの》旬もの あすか農園(常陸太田市) 土を生かした甘いキウイ

茨城新聞
2018年12月2日

常陸太田市のあすか農園は赤須順さん(66)、美智代さん(63)夫妻がブドウとキウイフルーツを栽培する。冬に楽しめるフルーツ、キウイの収穫を11月に終え、12月から自宅での直売が始まった。

主力は「ヘイワード」など果肉が爽やかな緑色の品種。果肉が赤、黄色の品種も手掛ける。緑は4月ぐらいまでの販売。赤は12月上旬、黄色は同中旬ごろまで。赤色は糖度が高く人気だが、無農薬栽培のため虫の害を受けるリスクが高く生産量が少ない。すぐに売り切れてしまうそうだ。緑、赤、黄の3色が顔をそろえるのは12月上旬のわずかな期間。贈答品としても人気で、特に忙しくなるという。

同園のキウイ栽培は40年以上。ブドウの栽培農家だった赤須さんの父親が1975年、全国の生産者仲間とニュージーランドからキウイの苗を輸入し始まった。赤須さんも79年ごろ農業の道に入った。「キウイは今でこそメジャーな果物だが、当時は『見た目がジャガ芋に毛が生えたようだ』と言われ、売るのに苦労した」

同園は長年、「安心とおいしさ」を掲げ、キウイもブドウも農薬や化学肥料を使わず主に自家製堆肥で育てる。家庭果樹のイメージが強いキウイだが、赤須さんはプロとして栽培のこだわりを挙げる。育てる場所や剪定(せんてい)、収穫のタイミング、追熟、受粉作業などだ。「適地適産が基本。その土地の気候風土に合った品種を育てると品質のいいものが取れる。栽培に合った条件を整え、定着する品種を探した」と話す。「化学肥料は土を傷めるという考え方。土の中の微生物や菌をできるだけ生かしたい」。年明けからは堆肥作りと剪定に励む。堆肥は落ち葉と牛ふん、米ぬかを混ぜ、空気を入れて熟成を進めるため8~9日間隔で切り返す。一冬かけて「香ばしいにおいの完熟堆肥」が出来上がる。

収穫は11月。「収穫時の糖度がおいしさに影響する」と長年の経験で糖度が上がった時期を見極める。収穫後は冷暗所で貯蔵。追熟はエチレンガスを使うと数日で軟らかくなるが、急激な変化は「えぐみが出る」とガスを発生するリンゴを入れゆっくり食べ頃を待つ。

自宅のかやぶき屋根の縁側で、キウイを手に赤須さんは「手塩にかけた子どもみたいなもの」と表情を緩めた。

■メモ
あすか農園▽住所は常陸太田市天神林町2128
▽直売は12月は無休で、1月からは予約販売
▽(電)0294(72)5520

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