下大賀遺跡に古墳 6世紀後半か 墳丘の半円部確認 那珂

茨城新聞
2018年6月14日

県教育財団は13日、那珂市下大賀の下大賀遺跡発掘調査で、古墳時代後期(6世紀後半)の古墳1基を発見したと発表した。墳形は円墳か前方後円墳で、円墳とした場合に墳丘径約26メートルと推定される古墳の半円部分を確認した。また、直刀3点や勾玉(まがたま)1点といった副葬品が石室内から出土した。同財団は「人物の特定はできないが、地域で力を持った有力者が埋葬されていたといえる」と話している。

同遺跡は同市北部、久慈川支流の玉川右岸、標高42メートルの台地上にある。調査は7回目で、国道118号の道路改築事業に伴い、遺跡東部の2163平方メートルを対象に行った。

新たに発見された古墳は、墳丘が削られ平らになっていたが、ほぼ半円の周溝(幅3~5・8メートル、深さ最長1・2メートル)と、中央部に被葬者を埋葬する石室が見つかった。下部だけ残っていた石室は、長方体の切り石を組み上げて側壁を造り、遺体を収める玄室の底面には近くの河原で拾える石を敷き詰めている。

玄室から出土した直刀は最長約1メートルで、勾玉(約3・5センチ)は玉川で採取できるメノウで作られている。人の骨片も出土し、周溝からは、土師(はじ)器の坏(つき)や須恵器の甕(かめ)など計5点の遺物が出土した。

古墳の発見は同遺跡で初めてで、県教育財団が進めている発掘調査としては、下河原崎高山古墳群(つくば市)の2016年度調査で1基を発見して以来、2年ぶり。県内全域の古墳はほぼ把握されていると考えられており、周知されていないものが見つかるのは珍しいという。

同遺跡の東側には古墳3基からなる十林寺古墳群が隣接しており、同財団は「ほぼ同時期の古墳で関連があると考えている。那珂市域の歴史を解明する貴重な資料になる」と話した。

ほか、弥生土器の破片、平安時代の竪穴建物跡1棟、墨書土器、室町時代と考えられる方形竪穴遺構5基なども見つかっている。

現地説明会は17日午前10時から。問い合わせは同財団那珂事務所(電)080(3405)9044

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