《旬もの》 四万騎農園(かすみがうら市) 栗栽培に「セオリーなし」

茨城新聞
2017年10月1日

秋の味覚、栗を栽培するかすみがうら市の四万騎(しまき)農園。石塀に囲まれた農園の中は栗畑が広がっていた。整然と植えられた栗の木の下に緑の草が茂る。9、10月の収穫期を迎え、作業場では栗の実がつやつやと輝く。

100年以上続く農園の3代目、兵藤昭彦さん(52)によると約15ヘクタールに約12品種を栽培する。生栗・苗木の生産販売に加え、渋皮煮や栗ジャムなどの加工品も手掛ける。どこにも卸さず、直接販売で対応する。東京はじめ関東地方の客も多いという。「お客さまに満足していただける栗作り」を心がける。

四万騎は農園周辺の地名で、源義家が4万の騎馬兵を集めたという伝説に由来する。兵藤さんの祖父が1919(大正8)年、四万騎の地で栗栽培を始めたのが農園の始まり。祖父は茨城の栗栽培の発展に貢献した一人とされている。

「栗は栽培法が確立されていない。セオリーがない」と兵藤さん。同園では研究調査や経験などを基にした同園の栽培ルールを作り、土作りに力を入れる。

農園のある千代田地区は栗や果樹の栽培が盛ん。「この辺りは味のよい果樹ができるが、肥料分の少ない土地だったようだ」。兵藤さんの父親が高品質な栗の生産を目指し、有機質肥料での土作りに取り組み始めた。草も生えない状態だったが、肥料分が行き渡り自然に草が生えるようになったという。

栗畑で目を引くのは木と木の間が空いていること。「1本の木が根を広げて十分に養分を取れるように木と木の間隔を広く取っている」。落葉後には根ごと間引きする間伐を行い間隔を広げ、剪定(せんてい)で日当たりを良くし数を調整する。栗畑に草を生やす「草生栽培」で有機質不足を補う。「果実と違って栗はいがが開いてみないと(出来が)分からない。それまでに施肥や間伐などできる限りのことをいかにやってきたか」。その言葉に手間暇を惜しまない姿勢がうかがえた。

栗農家ならではの素材の良さで勝負する「栗渋皮煮」や「マロン・ジャム」などの加工品も農園の名物。秋以外も栗を楽しめる。2年前に売り出した「マロンソフトクリーム」も人気。「渋皮煮の延長線上」で出来上がったジャムは「プレーン」「ラム」「オー・ドゥ・ヴィ(ブランデー風味)」の3種類がある。直売所にはテーブルといすが置かれ、ジャムの試食ができるようになっている。

■メモ
四万騎農園▽かすみがうら市上土田1020の24
▽(電)0299(59)2038、ファクス0299(59)2672

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