《土木遺産の路線 わ鉄を巡る(3)笠松トンネル》輸送路の難所を貫通

上毛新聞
2016年10月27日

わたらせ渓谷鉄道の沢入―原向間にある笠松トンネル(全長362メートル)は、群馬、栃木県境を貫いている。足尾鉄道時代の1912(大正元)年、足尾銅山の輸送路の難所だった区間に完成した。
構造は馬蹄(ばてい)形の断面で、側壁の部分を石で積み、アーチの部分はれんがを積んでいる。旧足尾鉄道が建設したトンネルとしては最長で、内部には6カ所の待避所を設けている。
足尾銅山は1877(明治10)年、古河市兵衛が経営に参画し、先進技術の導入や銅需要の高まりで産銅量が急激に増大した。同年に46トンだった年間産銅量は、1911年には7634トンに跳ね上がった。
笠松トンネルが造られた沢入―足尾間の開業は、銅山が急成長した時期に当たる。同区間開業後の17(大正6)年、足尾での産銅量はピークの1万7457トンに達した。

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