《路線バス 終点を行く(13)》吹上(桐生) 織物の地に育つ天蚕

上毛新聞
2016年7月9日

ㅤ桐生市川内町の中心部から県道駒形大間々線を北に向かう。次第に民家がまばらになり、道の左右の山々が迫ってきた。路線バス「おりひめバス」川内線の終点「吹上」に着くと、周囲は木々の緑一色。山田川のせせらぎと鳥のさえずりが迎えてくれた。
ㅤ「鳴神・吾妻ハイキングコース」の案内板が立つ。鳴神山の登山口へ向かうと、近くに住む篠崎文夫さん(63)が道沿いに座っていた。「川内は緑と水がきれい」と誇らしそう。バスに乗る際は、車窓からの景色を楽しむ。
ㅤ山から下りてきた同所の今泉茂さん(67)に出会った。有志ら8人で登山道の整備や植物の保護にボランティアで取り組んでいる。今泉さんは10年ほど前に始め、登頂は1800回近い。「山頂からの360度の眺めは最高。身近にこんなにいい山があることを広めたい」と汗をぬぐった。
ㅤ吹上のバス停から南へ向かうと、クヌギの木が青いネットに覆われていた。松井定夫さん(63)が天蚕を育てている場所だ。「こんなに大きいのがいるよ」。松井さんが枝先からつまみ上げ、手のひらに載せた天蚕は、大人の親指ほど。薄緑色に透き通り、輝いているようだ。
ㅤ川内町には桐生に織物技術を伝えたとされる白滝姫をまつる白滝神社がある。「桐生の織物発祥の地。その自然に育まれた繭で糸を作り、織物を織ることには大きな意味がある」。順調に育つ天蚕を眺め、優しくほほ笑んだ。

【おりひめバス川内線】桐生市の委託を受けて、桐生朝日自動車が運行する。東武鉄道新桐生駅からJR桐生駅を経由し、川内町内を南北に走る。大人(中学生以上)は200円の定額。

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