国蝶オオムラサキが生息 貴重な森 保全28年

茨城新聞
2016年7月8日

国蝶(こくちょう)オオムラサキが生息する下妻市の小貝川ふれあい公園内の自然林を守ろうと、近隣住民らで組織する「オオムラサキと森の文化の会」が保全活動に取り組んで28年目となる。毎月2回、散策路の除草作業やパトロールを行い、貴重な森に親しめる環境づくりを進めてきた。オオムラサキが羽化するこの時期には観察会も開いており、今年は10日に実施する。会のメンバーらは「市内に残された貴重な森にぜひ触れてほしい」と多くの参加を呼び掛けている。

小貝川沿いの自然林にオオムラサキの生息が確認されたのは1978年。下妻二高生物部の部員たちが生物調査をしていて、偶然見つけた。当時は民有地も混在していたが、ふれあい公園を整備する中で現在は全て市有地となった。

オオムラサキと森の文化の会は88年に結成。公民館で自然観察教室が開かれ、住民らが自然林の大切さを知ったのがきっかけだ。15年前に入会し、会長となって3年目という同市平川戸の本橋孝夫さん(63)は「子どもの頃にはまき取りや遊び場としてよく来ていた。森を守りながら後の世代に引き継いでいければ」と話す。

会のメンバーは38人。そのうち実動人員は18人。一時、メンバーの高齢化が心配されたが、60代が増えて今では中心となっている。活動は月2回。全体の11ヘクタールのうち、オオムラサキが生息する約2・5ヘクタールと800メートルの散策路の下草刈りやロープの修繕、チェーンソーによる間伐、ごみ拾いなどに汗を流す。

オオムラサキの幼虫はエノキの葉っぱの裏に生息しその葉っぱを食べながら成長する。5月下旬から7月いっぱいまでに羽化して、クヌギの樹液を吸う。「エノキが老木となると葉っぱが堅くなるため、若木に植え替える必要もあります」と本橋さん。

メンバーらの住居は平川戸や横根地区など多くが公園の近隣に集中している。本橋さんは「他の地区からも参加してもらい、オール下妻にしていきたい。生息地は立ち入り禁止となっているので、気軽に森を楽しめるように管理地域を増やしていければ」と意欲を燃やす。

オオムラサキ成虫観察会は10日午前10時から。参加無料。

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