浮世絵、版画 富士山づくし 那珂川の広重美術館 昭和までの計60点紹介

下野新聞
2022年8月11日

【那珂川】富士山をテーマとする浮世絵版画や肉筆画、近代の創作版画の数々を紹介する企画展「浮世絵富士ざんまい」が9月11日まで、馬頭の町馬頭広重美術館で開かれている。

歌川広重(うたがわひろしげ)が制作し、没後に刊行された浮世絵版画のシリーズ「冨士三十六景」、棟方志功(むなかたしこう)らと共に活躍した版画界の第一人者、徳力富吉郎(とくりきとみきちろう)さん(1902~2000年)の創作版画のシリーズ「冨士三十六景ノ内」など、計60点を展示する。

広重は「冨士三十六景」で江戸、駿河、信濃など、さまざまな場所から望む富士山を描いた。「冨嶽三十六景」を手がけた葛飾北斎(かつしかほくさい)が、富士山そのものを主役に据えたのに対し、広重は「富士山のある風景」を繊細な筆致で表現したのが特徴の一つという。

戦時中の昭和に制作された「冨士三十六景ノ内」は、浮世絵よりも近くから富士山を写実的に描いている。

太田沙椰香(おおたさやか)学芸員は「バラエティーに富んだ作品から名峰、富士山の魅力を堪能してほしい」と話す。

大人500円、高校・大学生300円。月曜休館。今月12日は無料。27日午後1時半からミュージアムトークを開催予定。(問)同館0287・92・1199。