来春のヒナ誕生に期待 【コウノトリ舞う空~渡良瀬遊水地】(1)「ひかる」と「歌」 石川宜延さん(栃木)

下野新聞
2019年10月15日

 「幸せを運ぶ」とされるコウノトリ1羽が、昨年2月から渡良瀬遊水地にすみ着いている。小山市下生井の第2調節池を中心に遊水地周辺部で餌の小魚や小動物を捕っている姿がよく見られ、地元のシンボルになりつつある。国の特別天然記念物で絶滅危惧種でもあるが、今夏には同時に4羽も飛来したことがあった。地元の写真愛好家「コウノトリ見守り隊」のメンバーとともに、渡良瀬遊水地の空を舞うコウノトリを追い続けたい。

 残暑の厳しい日でした。用水路をのぞき込む1羽のコウノトリがいました。餌を探しているのでしょう。望遠レンズで足輪の色を確認すると、雌の「歌」でした。9月7日午後4時すぎのことです。

 渡良瀬遊水地の堤防から用水路を見下ろしていた私たちがレンズを向けたその時でした。歌の背後から雄のひかるが突然、飛び掛かってきました。驚いた歌は、用水路に飛び込みましたが、ひかるは何食わぬ様子で飛び去っていったのです。

 歌は、徳島県生まれの1歳。渡良瀬遊水地にすみ着いている3歳のひかるの「お嫁さん候補」です。あれは、ひかるのいたずらだったのでしょうか。歌は同12日まで渡良瀬遊水地にいましたが、その後はどこにいるのか分かりません。

 コウノトリの繁殖期は春。今のところ2羽はくっついたり離れたりを繰り返していますが、春までにカップルとなってヒナが誕生することを、見守り隊の誰もが望んでいるのです。

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