自慢のご当地グルメ 鉾田の味「豚ハラミ」 希少部位こめかみ肉 評判、口コミで広がり
鉾田市の鉾田地区に、知る人ぞ知るご当地グルメがある。その名も「豚ハラミ」。焼き肉では牛の横隔膜を指すが、同地区で豚ハラミと言えばこめかみ周辺の赤身肉。約50年前に生まれた名物だが、市外にほとんど流通しておらず、同市内でしか味わえない希少な逸品となっている。
「豚ハラミは、柔らかさと歯応えのバランスがいい。赤身なので胃もたれしにくくヘルシー」と話すのは「仲田精肉店」(同市鉾田)の仲田雅人さん(39)。同店では1日平均20キロ、多い時には同100キロを販売する「不動の1番人気」(仲田さん)だ。
仲田さんによると、豚ハラミは、仲田さんの大叔父に当たる故・黒田弘さんが、経営する飲食店「仲良」(閉店)で提供したのが最初という。その後、仲田さんの店でも辛みそを添えて豚ハラミの生肉販売を開始。このほか、市内飲食店の数店舗でも「豚ハラミ焼定食」が味わえる。
今では、焼き鳥店などで「カシラ」として目にする機会が多い豚ハラミ。当時は豚肉の頭部を食用にする習慣は沖縄県などにしかなく、精肉の段階で廃棄されていた。
豚ハラミの魅力は、そのジューシーな肉汁と食感で、味や食感は牛ハラミとは全くの別物。ただ、黒田さんが豚ハラミと命名した理由ははっきり分かっていない。
由来の謎はそのままに、豚ハラミの評判は口コミでじわじわ広がり、精肉店には仲良の常連や評判を聞き付けた市外からの客が後を絶たない。仲良に通っていたという同市徳宿の山口崇徳さん(38)は「さっぱりしていて大好き。たれに漬け込んで焼けば最高」と豚ハラミに魅了された1人だ。
しかし、豚のこめかみ肉は1頭から300~400グラムしか取れない希少部位。数量の確保は難しく、仲田さんの店でも複数業者から仕入れなければ需要に応えられないのが現状という。
鉾田自慢の豚ハラミ-。その味を堪能するには当面、同市を訪れるしかなさそうだ。
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