映画「棘の中にある奇跡」 栗産地舞台に心の交流描く

茨城新聞
2018年2月26日

栗の一大産地の笠間市を舞台に人間ドラマを描く映画「棘(とげ)の中にある奇跡~笠間の栗の木下家~」が完成し、先行上映会が25日、同市石井の笠間公民館大ホールで開かれた。満員の500人超が詰め掛ける中、舞台あいさつで主演の西尾舞生さんら出演者や植田尚監督が作品への思いを語った。

作品は栗農家の高齢女性と、収穫を手伝いに訪れた主人公の「売れない女優」、そこに突然現れた「謎の男」の3人の心の交流を描写。「笑いと感動の農業映画」を目指し、栗産地笠間をアピールしている。

植田監督はテレビドラマ「ごめん、愛してる」「チーム・バチスタの栄光」で演出を担当した実力派。農業に焦点を当てた本県舞台の作品は2010年公開の映画「ビバ!カッペ」に続く2作目で、市内での撮影は昨年9月に行った。

上映前に舞台あいさつがあり、満員に感無量の様子の西尾さんは「(演技)一回一回が勝負だった。みんなで走り抜けた」と熱く語った。植田さんは「茨城を第二の故郷と思って撮影した」と地域振興への思いをのぞかせ、農家の青年役の土田拓海さんは「すごく笠間のことが好きになった」と笑みをこぼした。

高齢女性はベテラン女優の倉野章子さんが演じ、本県出身の渡辺裕之さん、渡辺徹さんも出演した。観客の多くが涙腺を緩ませ、同市市野谷の主婦(64)は「琴線に触れ、最高に良い作品だった。たくさんの方に見てほしい」と満足そうに話した。

今後の上映は水戸市内で企画中。3月3~15日は名古屋市で実施し、今夏以降は東京、大阪、広島、アメリカ、イタリアでも予定している。

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