《食いこ》神橋亭(茨城・つくば市)

■福来みかん 実でドリンク
茨城県つくば市の筑波山神社参道。店名の由来、切り妻造りこけら葺(ぶ)きの「神橋」右脇を行くと「みよこの七味」の看板が目に入る。1894年創業の老舗は昨年、特産品「福来(ふくれ)みかん」の果肉を加工したシロップの炭酸水割り「福来みかんスカッシュ」と、アールグレイ紅茶で割る「福来みかんティー」を開発、売り出した。ミカンの甘さと、ほのかな苦みを伴った爽やかな味わいが好評だ。
同店の名物は自家栽培の福来みかんの皮で作った陳皮をたっぷり配合した七味唐辛子。3代目店主の渡辺美代子さん(86)が2代目から受け継いで作るそれは、絶妙な香りと辛みで人気が高い。
一方で酸味が強く、小ぶりで種の多い果肉部分は使い道がなかった。ほとんどを「畑に埋めたり、生ごみとして廃棄したりしてきました」と振り返るのは、高齢の美代子さんに代わって店を切り盛りする息子の妻、4代目の由美さん(45)。

福来みかんのジャム
「なんとか実を生かしたかった」と由美さんが果肉の加工、商品化の試行錯誤を始めたのは5年前。当初は具体的な目標もなく、冷凍保存したミカンを「砂糖に漬ける、発酵させる、それに酢を加えてみる。ジュースにする。煮詰める。ピューレにも」と、これまでの試作品を指折り数えた。
収穫期の秋を迎えても暑い日が多い近年。「福来みかんは以前より甘くなった感じがします」と由美さん。半解凍したミカンにグラニュー糖を加え、一晩寝かせて煮込む。砂糖の分量、煮込む時間や火力などレシピを記録、検証しながら試作を重ねた。しかし、できた物は甘さは十分でもメリハリに欠け、印象がいまひとつだったという。

皮をむき冷凍した福来みかん
そんな中、当初は実から根気よく種を取り除いていたが、知人の菓子職人から「種ごと煮込んでみたら」とアドバイスを受ける。早速試してみると種の苦みが甘さを際立たせ、味に深みとアクセントをもたらし、インパクトあるシロップが誕生。スカッシュの販売にこぎ着けた。
「今夏は道具をそろえてシロップを使ったかき氷やフレッシュジュースを準備したが多忙で販売延期。来夏には出します」と由美さん。冷たいもの好きは首を長くして待て。
■お出かけ情報
▽茨城県つくば市筑波726-6
▽筑波山神社駐車場より徒歩3分
▽(電)029(866)0143
▽営業時間は午前9時半~午後5時、月曜定休、ホームページはhttps://www.shichimiyoko.com/

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