「吉展ちゃん事件」劇 名刑事・平塚八兵衛しのぶ 土浦

茨城新聞
2017年10月6日

戦後最大の誘拐事件とされる「吉展(よしのぶ)ちゃん事件」を題材にした舞台劇が11月、水戸市五軒町の水戸芸術館で上演されるのを前に、出演する俳優らが5日、犯人逮捕に尽力した土浦市出身の名刑事、平塚八兵衛(1913~79年)をしのぶため、同市内の墓を参拝した。主演で八兵衛役の近藤芳正さん(56)は墓石に刻まれた肖像を「いろんな厳しさを知った上で柔和な笑顔をされている」と話し、「人間の持つ執念や弱さ、焦りを丁寧に演じたい」と抱負を語った。

舞台劇は「斜交 昭和40年のクロスロード」。63年に発生し、後に昭和の大事件と呼ばれた「吉展ちゃん誘拐事件」をモチーフにした。物語は、東京オリンピック直前の活気を帯びた時代に、その波に乗れず誘拐と殺人に手を染めた犯人と、ぶつかり合いながらも犯人を追い詰めていく刑事たちの姿を、行き詰まる心理戦を交えて描く。

出演は、犯人役に同市出身の筑波竜一さん(41)と、若手刑事役に中島歩さん(28)、犯人の母親役に五味多恵子さん(65)。ほかに渋谷はるかさんと福士恵二さんが脇を固める。脚本は、古川健さん(劇団チョコレートケーキ)、演出は高橋正徳さん(文学座)。

近藤さんら俳優陣は同日、八兵衛が眠る同市内の墓地を訪問。墓石に線香を供えながら、「吉展ちゃん事件」をはじめ、帝銀事件や三億円事件など数々の大事件を手掛けた「昭和の名刑事」をしのんだ。

筑波さんは「土浦出身という縁で仕事をいただき、感謝している。取調室での刑事や犯人との人間模様を楽しんでもらえるよう、頑張りたい」と抱負を語った。

「斜交 昭和40年のクロスロード」は11月23~26日、同館ACM劇場で上演。問い合わせは同館(電)029(225)3555。 

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