木版画や素描148点 パリや日本の古都題材 斎藤清企画展 茨城県五浦美術館

茨城新聞
2026年5月11日

海外の視点から日本の美を捉え直し、国民的版画家として親しまれた斎藤清(1907~97年)。国際的にも高い評価を得た画業をたどる企画展「関彰商事コレクション 斎藤清のパリ そして日本」が、茨城県北茨城市大津町の県天心記念五浦美術館で開かれている。パリや日本の古都を題材にした木版画の代表作のほか、美術館では初公開となる素描など148点を集め、創作の全貌に迫る。

斎藤は福島県会津地方に生まれ、4歳で父親の事業の失敗により北海道に移住。看板店で働いた後、24歳で上京し、宣伝ポスターの制作などをしながら独学で油絵を学んだ。29歳で安井曽太郎(1888~1955年)の木版画と出合い衝撃を受け、木版画の制作・研究に没頭する。

戦後は占領軍関係者など外国人を中心に人気を博した。51年の第1回サンパウロ・ビエンナーレでは戦後日本人として初めての国際展受賞を果たす。これを皮切りに海外での個展開催など活躍の場を広げ、日本版画界をけん引した。

今回は総合商社の関彰商事(茨城県筑西市)が所蔵する400点を超す斎藤清コレクションから代表的な木版画59点を紹介。美術館ではほぼ初公開となる版画の前段となる素描89点も展示する。見どころは版画はパリのブティックで働く女性やモンマルトル広場、京都の石庭、鎌倉の名刹などを題材にした作品。素描は対象を写し取る躍動感あふれる線の軌跡が楽しめる。

同館企画普及課の長谷川翠学芸員は「日本を代表する版画家、斎藤清の画業を一望できる貴重な展覧会。とりわけ素描には斎藤の個性が表れ、生き生きとした線描に注目してほしい」と呼びかけている。

同展は7月12日まで。月曜休館。同館(電)0293(46)5311。