人気小説家が一役 絵と対話解説で深み 太田市美術館で「須永有展」 

上毛新聞
2017年9月11日

太田市美術館・図書館で10月22日まで開かれている同市出身の画家、須永有(ある)さん(28)の「大★須永有展」で、作品に付けられた解説が「ユーモアにあふれ秀逸」と話題になっている。人気小説家の長嶋有さんと福永信さんが書いた解説で、須永さんは「絵のコンセプトを超えて想像の幅を広げてくれる文章」と説明する。

特徴ある企画展に、という同館の依頼で2人が15点にそれぞれ解説を付けた。途中で展示替え予定で、現在は10点を展示中。横4メートル超の油絵の大作「もう生まれたくない」には、長嶋さんが「大きないい絵だし、大きないい線だ。(中略)こんな太い筆があるのだな」などと記し、福永さんは英文で別の解釈を提示している。
須永さんは下絵などを示して2人にコンセプトを伝えた。「実績ある有名作家。当初は恐縮したが、打ち合わせはイメージを伝えやすい雰囲気だった」と振り返る。独特な文章で示される略年譜も注目だ。
画家の意図を忠実に伝えるのが従来の解説だが、同館学芸員の小金沢智さんは「絵と言葉が対等に存在し、従属関係がない珍しい試み」と説明。立ち止まってじっくりと解説を読む人も多い。
須永さんは3月に東京芸術大大学院を修了。茨城県内のアトリエで創作している。長嶋さんは2002年に「猛スピードで母は」で芥川賞に輝き、福永さんは15年に早稲田大坪内逍遥大賞奨励賞を受けた。須永さんの作品展は同館の企画展「絵と言葉のまじわりが物語のはじまり」の一環。問い合わせは同館(☎0276・55・3036)へ。

 

【写真】「もう生まれたくない」の前で須永さん

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