《食いこ》洋食亭ときわ(茨城・鉾田市)

茨城新聞
2025年8月3日

■看板料理に地元食材活用

戦前の1937(昭和12)年に創業した茨城県鉾田市で人気の洋食店。90年代前半に中心市街地から移転し、現在は2代目の石崎千明さん(75)と3代目の英明さん(45)が自慢の腕を振るう。

看板メニューの一つが「豚肉ナポリ」。都内の飲食店やバーなどで修業を重ね2015年に帰郷した英明さんが、「店の価格帯に合うメニューを」と試行錯誤を重ねて考案した。地元の畜産業者が育てるオリジナルブランド「だいじょ豚」をふんだんに使っており、パスタ250グラムと肉の味が強い肩バラ肉など具材160グラムで計400グラム超とボリューム満点だ。トマトとの相性が抜群というチュニジア発祥の調味料「アリッサ」を加えた辛口も提供するほか、各種トッピングも可能という。

今年は新メニュー「豚肉ナポリ和風辛口」も登場した。英明さんがずっとイメージしていたという豚肉ナポリの進化版。同店の肉料理にも使うしょうゆベースのステーキソースに爽やかな辛みのある青トウガラシの乾燥粉末を加え、程よい刺激が食欲をそそる。青トウガラシは料理に合うよう同市の生産者に特注しており、「赤トウガラシとはひと味違った香りが楽しめるはず」と自信をのぞかせる。

定番のポークソテーは豚肉のうまみがしっかり味わえる逸品。150~300グラム(注文は50グラム刻み)を選べるが、千明さんによると、1キロを平らげる猛者もいるという。

150~300グラムまで50グラムごとに重さが選べるポークソテー

 

同店では、ソムリエ資格を持つ英明さんが季節の料理に合うワインなどを提案する催しも開いており、地元食材を生かした料理で地域活性化に取り組んでいる。千明さんは「自分の店だけが良くても駄目。かつてにぎわった鉾田の灯を消さぬようにできれば」と語る。

Jリーグの試合観戦の帰りなど遠方から訪れる人も少なくないという同店。英明さんは豚肉ナポリなどを例に挙げ「親しみやすい料理にローカルな提案を加え、鉾田の魅力を伝えていきたい」と意欲を見せる。

千明さんは「お客さんが支持してくれるのが一番。そこを見誤らないようにしたい」。創業当時から続く「顧客第一」の姿勢を守りながら、地域と共に歩み続ける。

■お出かけ情報
▽茨城県鉾田市安房1407の28
▽営業時間は午前11時~午後2時半(ラストオーダー)、同5時~同8時15分(同)
▽不定休
▽(電)0291(32)2200
▽インスタグラムのアカウントはtokiwa_hokota