《釣り》アユ遡上好調、大幅増か 茨城県内6月1日解禁 平均7センチ、10センチ超個体も

茨城県内のアユ釣りが6月1日、解禁となった(一部支流は7月1日)。毎年久慈川と那珂川でアユの遡上(そじょう)を調べる県水産試験場内水面支場の調査では、3月中旬に久慈川、那珂川でアユの遡上を確認。平年に比べて遡上量は多いという。全長は現在、平均約7センチ前後だが、中には10センチを超えるアユも見られる。
同内水面支場が、久慈川河口から8キロ上流の調査地点、堅磐(かきわ)堰(せき)で今季初となるアユを確認したのは昨年より6日早い3月13日。
同支場は「昨年のふ化時前後に海水温が高めに推移したことでふ化の数が増え、餌も豊富だったのではないか。生き残る数が多ければ、遡上数も当然増加する」と分析した。久慈川では投網10投換算で152匹と、前年同期の6匹から著しく増加。サイズも昨年比で2センチ大きい8センチだった。
久慈川漁業協同組合の石川修組合長は「久慈川と各支流では4月に多数のはみ跡を確認している。私自身、幅2メートルの帯状に連なってアユがさかのぼる様子を目撃した。中には15センチ前後とみられる個体もいた。今年は良さそう」と期待を寄せる。同漁協組合員からも同様の報告が上がってきているという。
一方、那珂川の千代橋では、3月13日の調査で昨年より少ない4匹だった。両河川とも3月中は数の顕著な伸びは見られなかったが、水温が14~15度となった4月10日の調査では、久慈川564匹、那珂川855匹と両調査地点とも急激に数を増やした。
特に那珂川の激増ぶりは際立ち、はっきりとした理由は不明ながら4月21日の調査では943匹と、昨年の445匹を大幅に上回った。
天然アユ遡上の好調について、那珂川漁業協同組合の佐藤富士雄組合長は「河床の泥や砂を高圧水流で流して浮き石を造成し、毎年産卵しやすい環境を整えてきた。河口周辺での稚アユ採捕の監視活動強化も、増加要因につながったのではないか」と推測。今後も遡上増加に向けた各種対策を続ける方針だ。
県内各河川の漁協は5月末までに昨年並みの放流を実施。漁協関係者からは天然ものの遡上が多かった「一昨年の再現も十分期待できる」との声が上がっているという。
▼各漁協の放流状況
【久慈川】5月下旬までに、福島県境から茨城県常陸太田市内にかけて9カ所で放流。6月下旬には各支流でも予定し、合計2000キロ。本流は6月1日午前5時解禁。八溝川、里川や押川などの各支流は7月1日午前5時解禁。アユ資源保護のため10月1~7日の1週間は全域で休漁。久慈川漁業協同組合(電)0295(52)0038。
【那珂川】5月下旬までに本流は茨城県水戸市内の1カ所、支流の藤井川2カ所、緒川1カ所で合わせて500キロを放流。6月1日午前0時解禁。藤井川と緒川は7月1日午前0時解禁。那珂川漁業協同組合(電)029(288)3034。
【大北川・花園川】5月中旬までに大北川と支流の花園川、両河川計6カ所で計250キロ放流。大北川漁業協同組合(電)0293(43)2566。
【鬼怒川】5月下旬までに茨城県筑西市内の2カ所で、各150キロずつを放流。鬼怒小貝漁業協同組合(電)0296(28)0035。