《まち里歩き》スタート地点 少林山達磨寺(高崎市鼻高町) だるまの里伝統継ぐ

上毛新聞
2017年6月8日

6月に入り、日差しの強い日が増えてきた。山や川に涼しさを求めて、高崎市鼻高町の少林山達磨寺を起点に歩き始めた。

上毛かるたの札「縁起だるまの少林山」でおなじみの少林山達磨寺。緑が濃い境内に爽やかな風が吹き抜けて気持ちいい。達磨堂の並びに、開運や合格祈願、恋愛成就を願う色とりどりの絵馬が並んでいた。埼玉県から初めて訪れた岩上正さん(38)=写真=は「だるまの数の多さに圧倒された」と感動した様子で話してくれた。
道を下ると、民家の入り口に「窯で焼いています」と書かれた手製の看板を見つけた。言葉につられて奥へ進むと、まるでジブリの世界に迷い込んだかのような店構えの「森のパン屋さん」に行き着いた。店主の荻野早苗さん(65)が13年前に始め、週末のみ営業する隠れ家店だ。石窯で焼くパンは、自家製酵母を使用したヘルシーなライ麦パンや五穀パンが人気という。


碓氷川を渡り東へ進む。創業80年余の歴史ある今井だるま店へお邪魔した。テンポよく色付けられ、だるまが出来上がっていく。年間約5万個のだるまを作る店内には、よく見る赤色のだるまの他に、えとをモチーフにしたものや「七転び八起き」をイタリア語であしらったものなどがあり、おしゃれで豊富なデザインに目を奪われた。


少し休憩しようとジャズ喫茶ケイノートへ。高崎経済大モダンジャズ研究会出身のオーナー、松井健さん(64)が、中学生の時から演奏しているというアルトサックスを軽快に演奏してくれた。日中はジャズ喫茶、夜はライブのほか、地域の学生や一般の人が参加するジャズのセッションを開いている。音楽を通じて深まる地域の交流がうかがえた。


高崎八幡小の西にある細い道を北上し、JR信越本線の線路を越えると、八幡八幡宮の神門が見えてきた。境内の建物は神仏混交式で、仏殿様式の神門や天満宮、鐘楼などが現存する珍しい八幡宮だ。武神の神様を祭るため、受験生や勝負を祈願する人が訪れることも多いという。


県道箕郷板鼻線に沿って進むと、一帯に果樹園が広がり始める。山木農園が運営する「レガーロ×レガーレ」は、収穫した果物や地元産の農作物を加工して、ジャムや焼き菓子を「高崎の贈り物」として販売している。同園が営む隣のアルベロでは、ジェラートを食べて涼む人でにぎわっていた。


暑さを忘れるほど夢中で歩き回った一日。夕暮れ時、時折虫の声が聞こえてきた。
(文化生活部 水村 希英)

≪コースの特徴≫
坂道もある8キロ。景色を楽しみながら、長いコースをゆっくりと歩きたい。

【寄り道したら】中国料理 四川 夏限定の「冷やし担々麺」
地元の家族連れや市外からもファンが訪れる中国料理店。店主の戸塚貴久男さん(66)は東京・新橋で修業し、38年前、父親が経営していた食堂を引き継いで開店した。
メニューは約100種類と豊富。リピーターが多い「四川省式マーボトウフ」は、さんしょうの風味が口いっぱいに広がるピリ辛味。小サイズは1500円。
夏季限定のメニュー「冷やし担々麺」(850円)は、暑い日にぴったり=写真。喉ごしのいい細麺とたっぷりのネギが、香ばしいスープに絡んで絶妙。戸塚さんは「おいしいものを長く提供していきたい」と話してくれた。
ランチは午前11時半~午後2時半、ディナーは午後5時~同9時半。月曜定休。問い合わせは同店(☎027・327・4000)へ。

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