《食いこ》夢みるじっち(茨城・行方市) 食守る安全野菜お届け

茨城新聞
2024年11月30日

茨城県行方市にある足首まで沈むかと思うほど柔らかい畑で、今抜いたニンジンを「どうだ」とばかりに掲げる大和田昌幸さん(44)と妻のかおりさん(39)。「日本の食を守れるのは農業。つらいこともあるが夢もある仕事-と示したい」と豊かな大地と温暖な気候がもたらす、確かで安全な農作物を行方の地から送り出す。

大和田家の祖先は1600年代(江戸時代)までさかのぼれる農家。大和田さんの父親は、サツマイモ、キャベツ、セリ、ゴボウ、米を作っていた。大和田さんの代から多品目栽培に切り替え、野菜の詰め合わせを作って商談会やマルシェで存在感をアピール。競争力強化を図った。

現在はハクサイ、レンコン、ダイコン、ターサイ、ニンジン、ホウレンソウ、サツマイモ、トウモロコシ、ミニトマトなど年間を通じて約20~30品目の季節野菜を、主に生協へ出荷する他、旬の「季節の野菜セット」を契約者へ送り届ける。

サブスクリプション(定額利用)登録者に、月1回届けられる「季節の野菜セット」

農園の野菜は「しっかりとした身と野菜本来の味と言われます。繊維質が少なくみずみずしい。食感は果物のようだとも-」と大和田さん。その秘密は「化学肥料や農薬に頼らず、土の力を最大限引き出す有機栽培を続けた結果」ときっぱり。

父親が始めた有機栽培を大和田さんが受け継ぎ、有機肥料を基に作るボカシ肥や緑肥、キノコの菌床堆肥などを土に入れ「微生物の力で土づくり」の工夫を重ねてきた。微生物の活性を促す、独自調合の自家製液肥を畑や作物にまき、病害虫や天候不順に強い作物が育っている。

有機質肥料を主な原料とし微生物によって分解・発酵されたボカシ肥

もう一つの特徴は「月のリズム農法」の実践。月の満ち欠けは農作物の成長に影響するとされ、月齢に合わせた栽培管理の方法だ。「例えば新月の後は病気になりやすいとか、小潮の時は肥料をやりすぎないとか」などを考慮することで、より的確な世話や病害虫対策を行える。大和田さんに倣って実践を始めた農家でも効果が出ているという。

フードロスを減らすため、出荷できないキュウリをピクルスに加工する6次産業化にも取り組む。「これからもおいしい野菜を作り、明日の担い手たちに稼げる農業を見せられれば」と意欲的だ。

 ■お出かけ情報
夢みるじっち
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▽(電)080(2678)0650(午前8時~午後5時、不定休)
▽道の駅いたこでも販売中(電)0299(67)1161