音楽スタジオ開設 「愛好家の成長の場に」 撮影機材も用意 日立出身・中井川さん 茨城

茨城新聞
2024年10月5日

茨城県日立市出身の写真家、中井川俊洋さん(64)が、音楽演奏や撮影などに使えるスタジオ「大みかの杜(もり)」を同市大みか町6丁目に開設した。自身が趣味でフルートを演奏することから、ミニコンサートや練習で気軽に使ってもらおうと、実家の跡地に整備。「若手や愛好家の成長の場になってほしい」と期待を込める。

中井川さんは東京を拠点に週刊誌のカメラマンとして活躍し、茨城キリスト教大(同市)の非常勤講師も務める。大学時代に日立鉱山の閉山に密着取材し、当時働いていた人々の現在までを記録した写真集を昨年、出版した。

実家は2年前に両親が亡くなってから空き家だった。母親は生前ピアノやコーラスに親しみ、人が集まるにぎやかな家庭だったことから、「また誰でも来られる公園のような場所にしたい」と考え、実家を取り壊してスタジオを建てることにした。

三角形の造りが特徴的なスタジオ(中井川さん提供)

完成した建物はアルファベットのAの形に木材を組んだ特徴的な構造で、広さは約63平方メートル。敷地内の木々は残しつつ「居間より広く、公共施設の小ホールよりは小さい場所」に仕上げたといい、天井高のある空間には最大で60人収容できる。

室内は奥に行くにつれて狭くなる扇形の造りで「思いのほか音の広がりがよく、反響もやわらか」と利用者からも好評という。すでに音楽教室や練習場所として貸し出しており、8月にはオープニングコンサートを開いた。

ヤマハ製のグランドピアノ(1985年製C5)と自身が幼少期に使っていたアップライトピアノ(70年製U1)、ドラムセットを備え、椅子約40脚、譜面台を約10本用意。床下倉庫は客席と舞台の間の「オーケストラピット」としても利用できる。

撮影用の定常光や大型ストロボ、背景紙のほか、動画配信用のカメラや録音設備など本格的な機材もそろう。11月にはスタジオ脇にキッチンやトイレなどを備えた約30平方メートルのプレハブを設置し、控え室としての利用や短期出店の希望に応える。

中井川さんは「音楽だけでなく、利用法は使い手次第。成長につながる場を提供することで地域に貢献できればうれしい」と話す。利用は1時間3000円で会員は半額。問い合わせはスタジオのホームページから。

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