スッポン化石展示 最新の発掘成果を紹介 茨城・坂東の県自然博物館
白亜紀に生息していた東アジア最大級のスッポン「ヒタチナカオオスッポン」の最新の発掘成果を紹介する展示が、茨城県坂東市大崎のミュージアムパーク県自然博物館で開かれている。県内で今年新たに発見された甲羅の一部を示す化石と、これまでに見つかった化石を併せて公開している。10月31日まで。
ヒタチナカオオスッポンは、同県ひたちなか市に分布する白亜紀の地層「那珂湊層群」から見つかる大型スッポン類の総称。2002年に骨の化石が発見され、当初は翼竜「ヒタチナカリュウ」の化石と考えられていた。その後、CTスキャンで調べた結果、内部は空洞ではなく、スポンジ状の骨が詰まっていることが分かり、巨大なスッポン類の化石と結論が導き出された。
調査を行い、20年に論文を発表した学芸員の加藤太一さん(36)は「たまたまスッポンを調理した際、ヒタチナカリュウの化石とよく似た骨に気付いたことがきっかけだった」と当時を振り返った。化石は加藤さんたちによって命名された。
今回の展示ではこれまで見つかった化石計5点を紹介。目玉は、今年の調査で発見された長さ約16センチの化石で、甲羅を構成する肋板の一つがほぼ完全な形で残っているという。加藤さんは「立体的なカーブが分かり、甲羅の形状を考えることができる」と成果を語る。そのほか、それぞれの化石の推定位置を図で表し、推定サイズとして人間やほかのスッポンと比べ、大きさを実感できるようにしている。
加藤さんは「これらの化石は当時の生態系を理解する上でとても重要。恐竜時代には、恐竜のほかにもさまざまな生物がいたことを展示から想像してもらえれば」と話している。
展示場所は1階の常設展エリア「博物館のコレみて!」コーナー。問い合わせは同館(電)0297(38)2000。